ガラスの靴は砕け散り
物語には語られないシンデレラの真実とは?
「お母様、お姉様。シンデレラは今日処刑されるそうです。」
お伽話のシンデレラは継母と義姉にイジメられるけど事実は違う。
伯爵の妻は平凡な容姿の女だったしその3人の娘達の容姿も地味で平凡だった。伯爵には娼婦上がりの愛人がいて彼女との間にできた娘のシンデレラは金髪碧眼の美少女だった。
賢く美しいシンデレラはいつしか伯爵家を乗っ取り舞踏会で皇太子の心を掴み寵妃となる。
邪魔な本妻とその娘達を策略で殺しその後王子の寵愛を傘に贅沢三昧な日々を過ごした。
「で、メイエ伯爵家を再興させるの?ソフィア・メイエ伯爵令嬢。」
石ころしかない母と姉達の墓に花束を捧げていると後ろから黒づくめの背の高い男が話かけてきた。私は元ソフィア・メイエだった。語られないシンデレラの妹。
「私はただのソフィアよ。伯爵家なんて関係ないわ。」
風が母譲りの栗色の髪をさらう。
「この国の秘宝の一つ。ガラスの靴の真の持ち主で秘密を知る唯一の者。王子は君に靴を返すとの事。そして君を迎え入れるそうだよよ。」
男は私に懐から出した絹の袋を取り出し差し延べた。
「ガラスの靴なんて知らないわ。私は農家の娘だし王子様なんて関係ない。シンデレラには妹なんていなかったとお伝え下さい。騎士様。」
そして振り返り男を凝視する。
「もうこの国にはガラスの靴など必要ないのです。ガラスの靴はこの国を守ってくれませんでした。ガラスの靴のせいで邪魔者を殺し民を疲弊させ贅を尽くしたシンデレラが出てきた。しかし国の為に命をかけて王子を諌め改心させシンデレラを排斥した騎士様方こそが国の宝ではないのでしょうか?騎士様のもう一つの仕事はガラスの靴を砕く事かもしれません。」
二人はじっと見つめあったがやがてソフィアを呼ぶ声が聞こえた。
「…恋人が呼んでますので失礼します。」
それはまるで真の姫君のような美しい礼だった。
「ガラスの靴は砕け散り。王子にはそう伝えよう。」
そして騎士は娘に背を向けて歩いて行った。
シンデレラは王子の側室になって実家の継母である本妻と二人の姉を無実の罪で死刑にしてしまいます。本当は6歳のソフィアちゃんも死刑予定でしたが危険を感じた母や姉に逃がされ田舎の村長の娘になります。
村長一家に愛情沢山貰って育ち派手さはないけど知性豊かな魅力的な少女に育ちます。
しかしシンデレラのせいで税が上がり村が困窮しだしたのでシンデレラを暗殺しょうかとか考えたり。その前に処刑が決まりよかったと思ってました。
ところでガラスの靴は神々の遺品の一つで七色に光る編み上げブーツ。
空飛んだりできるトンデモ品です。
ただメイエ伯爵家の血筋にしか使えないという欠点が。
シンデレラは使えますが使い方知りません。
ソフィアは知っています。
黒づくめの騎士はソフィアちゃんに一目惚れ。
でも即刻ハートブレイクしています。
とまあこんな裏設定ありのお話でした。