【第一章 第七話 村人との初めての交流】
畑の端で、暴れた羊を追いかける村人たち。
誠人は少し離れたところで立ち止まり、様子を見ていた。
「……やっぱり、俺が手伝った方がいいのか?」
肩の上の妖精がくすくす笑いながら光を揺らす。
「さあ、どうするの? 夢だと思ってぼんやり見てるだけでもいいけど、面白くないでしょ」
誠人は深呼吸し、ゆっくりと村人に近づく。
杖をつく老婆がこちらを見て眉をひそめたが、すぐに優しく手を振る。
――敵対する様子はない。
「手伝います……?」
誠人はぎこちなく声をかけた。
老婆はにっこり笑い、手招きして羊の方へ誘う。
子どもたちは好奇心いっぱいに近づき、
「あなた、誰?」
と口々に言う。
言葉は完全には理解できないが、雰囲気で何となく分かる。
誠人は肩の上の妖精を見る。
妖精はくるくる回りながら、光をチラチラ散らし、
「ほら、あとはあなたのやる気次第」とでも言うように微笑む。
手探りで羊を落ち着かせる誠人。
過去に遊んだゲームや小説の知識が、自然と頭に浮かぶ。
「……あれ? これ、俺、前にも経験したことが……?」
ふと、子どものころの記憶がフラッシュバックする。
でも、場所も時間も違う。
現実か夢かも、やはり曖昧だ。
羊が落ち着き、村人が少し笑顔を見せる。
誠人は安堵しながらも、心のどこかで妙な高揚感を覚えた。
――なんだか、自分の過去がこの世界にリンクしている。
そして、そのリンクが、今後の出来事を予感させる。
妖精は肩で小さく跳ね、光を散らす。
「ふふ、マコト。面白くなってきたね」
誠人は小さく笑い、肩の妖精に頷いた。
「……ああ、これはこれで、嫌いではないな。」
こうして、誠人は村人との初めての交流を経験する。
と同時に、過去の記憶とこの村の出来事が微妙に重なる感覚――
それが、何なのかを知る術は今の誠人には無かった。




