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【第一章 第六話 過去の記憶と異変の兆し】

村の小道を歩く誠人は、ふと視界の端に妙な違和感を覚えた。

畑の端にある小屋の屋根に、奇妙な影が揺れている。


「……あれ?」

妖精が肩でくるくる回りながら、くすくすと笑った。

「ほら、見てごらん。マコト、これ、知ってる感じしない?」


誠人は目を凝らす。

確かに、見たことのある光景――いや、光景ではない、体験したことのある感覚が胸に浮かんでくる。

子どもの頃、テレビゲームで遊んだ村。

今も読んでいるファンタジー小説の村。

でも、それだけではない。


――この状況、どこか日本で経験した気もする。


「……まさか、こんな小屋の隅っこに盗賊が忍び込む展開……

いや、待て、これはゲーム……? それとも……現実?」

誠人は頭を抱えた。

妖精は肩で跳ねて、光を散らす。

「ふふ、混乱してるね。夢か現実か、どっちだと思う?」


すると、村の外れで小さな騒ぎが起きた。

家畜の羊が突然暴れ、村人が駆け寄る。

誠人の胸に、以前ゲームで見た“初めての村襲撃”のような光景がフラッシュバックする。


「……いや、でも、俺、こんなこと経験したことあったっけ?」

記憶と現実が混ざる。

村人は叫ぶでもなく、淡々と羊を追いかける。

けれど、誠人にはそれが“なぜか知っている問題”に見えた。


妖精は肩の上で、悪戯っぽく笑った。

「ほらね、マコト。あなたの記憶、役に立ちそうでしょ?」


誠人は深く息をつき、肩の上の妖精を見る。

「……うん、でも、これは現実なのか夢なのか……まだ分からないな」

妖精はくるくる回りながら、光を散らして楽しそうに囁いた。

「そうそう、その曖昧さが面白いのよ」


――こうして、小さな異変を通して、自分の過去の記憶や経験と、この世界の現実が、微妙にオーバーラップしていく。

そして、ゆっくりと、村の問題に巻き込まれていく誠人であった。


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