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【第三章 閑話休題 ―戦場に空いた穴と、少女の怒り―】

戦場に静寂が訪れていた。


四天将ヴァルザークが誠人の新たな力

――《マコト・ゼロ・カリギュレーション》によって、あっけなく消滅してしまった。

残されたのは、直径百メートルにも及ぶ巨大なクレーター。

大地は黒く焼け焦げ、岩は砕け、ただ風だけが虚しく吹き抜けている。


人も魔族も、誰もが言葉を失っていた。

あまりにも呆気ない終幕。

あまりにも常識外れの光景。


その静寂を破ったのは、甲高い声だった。


「……あんたねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええ!!!!!」


誠人の肩に止まっていた妖精姿のリルが、羽音をぶんぶん震わせながら、全力で彼の頬をバシバシ叩いた。


「痛っ、ちょ、リル!? やめろって!」

「やめろじゃなぁい! 何よあれ!? “ちょっと試す”って言ったじゃない! ちょっとでこれだけの被害を出す奴があるかぁぁぁぁぁぁ!!!」


リルは怒鳴り、誠人の頭を小さな拳でぽこぽこ殴る。

羽根ビンタ、妖精パンチ、爪先キック。

まるでちっちゃな暴風雨。


誠人は頭を抱えてしゃがみ込み、「わかったわかった!」と必死に謝る。

だが、声には悪びれがない。


「でも……厨二病っぽくて、カッコよかっただろ?」

「そこが一番ダメぇぇぇぇぇぇ!!!」


周囲の兵士や仲間たちが、恐る恐る口を挟んだ。


「あ、あの……でもリル殿。あれのおかげで助かったのも事実ですし……」

「そうそう、四天将を倒したんだから英雄だろう?」


「擁護すんなあああああ!!!」

リルは振り返りざま、兵士たちにまで羽根ビンタを浴びせた。


「この調子で暴走したら、世界が何回あっても足りないでしょ! あなたたち命預けられるの!?」


兵士たちは一様に青ざめ、「す、すみません……」と揃ってうなだれる。


その場の空気は、重苦しい静寂と、リルの烈火の怒号に支配されていた。


――と。


「……ふむ。なるほど、これが“新しい英雄”か」


低く響いた声に、皆の視線が動いた。

クレーターの縁に、五人の影が並んでいた。


人類連合の誇る五大軍団――その団長たちである。

これで第三章は終わりです。


次回より第四章に移ります。


もうしばらくお付き合いください m(_ _"m)作者

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