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【第三章 第九話 戦況の安定と四天将の影】

明けましたおめでとうございます m(_ _"m)作者

本年引き続きよろしくお願い致します m(_ _"m)作者


ちょっと日にちが開いちゃいましたが再開いたします。

年明けなのでちょっと連投させていただきます。



城壁の上から戦場を見下ろす誠人とリルの視界には、依然として押し寄せる魔王軍の大群が広がっていた。

だが、軍団長たちの登場で――鋼殻騎士団、蒼焔会、機巧連盟、影葬衆、翠風団――その五大軍団の力が、今や戦場全体を染め上げつつある。


鉄と炎、魔力と風、そして影の刃が、混沌とした戦況を確実に秩序へと塗り替えていった。



――ゴオォォン!


大盾同士がぶつかり合うような轟音が、城壁を揺らした。

鋼殻騎士団が前線で巨大な盾を構え、魔物の突撃を受け止めた音だ。


誠人の足裏まで震えが伝わってくる。

思わず石壁に手をつくと、その掌にも「重さ」が響いた。

見るのではなく、感じる。軍団長たちの戦いは、それだけで圧倒的だった。


前に出たのは、鋼殻騎士団長ガラルド。

大盾を地に叩きつけると同時に兵士たちに短く指示を飛ばす。

低く響くその声は、遠く城壁の上まで届き、誠人の胸を震わせた。


「……これが、軍を率いる声……!」


その瞬間、盾の列が前に押し出され、敵の波が数歩後退する。

ただ守るのではなく、守りながら押し返す。

その一糸乱れぬ動きに、誠人は息を呑んだ。



続いて空を裂く光。

蒼焔会のセレナが高く杖を掲げると、蒼焔と峻氷が入り交じった奔流が戦場を覆った。


熱気と冷気が一度に押し寄せ、城壁の上の誠人の肌をも灼き、凍らせる。思わず身を縮めるほどの温度差。

それはただの魔法ではなかった。

魔術師たちが声を合わせ、詠唱を重ね、何層にも編み上げられた大規模魔術。


「魔法は一人で撃つもの」と思っていた誠人の常識が、そこで粉々に砕かれた。


「……魔力の流れを重ね合わせて……広げるんだ……!」


誠人の脳裏に稲妻が走る。

もし自分の魔法を仲間のそれと合わせられたら?

もし攻撃と防御を同時に繋げられたら?

未熟な自分にしかできない形があるのでは――そんな考えが芽生える。



――ガシャァン!


異様な金属音とともに、戦場に巨大な影が立ち上がった。

機巧連盟の兵器人形だ。

歯車の唸り、蒸気の吐息、火薬の匂い。


誠人は鼻の奥をくすぐる焦げ臭さに顔をしかめながらも、その動きに目を奪われた。

イグナーツの号令一下、兵器人形は盾となり、砲台となり、時に戦車のように前線を押し広げる。


魔法でも剣でもない。けれど、確かに「人の知恵」が戦場を変えていた。


「……俺も、工夫すれば……魔法をもっと違う形に……」


誠人は拳を握りしめる。

魔力の流れを感じ取れる自分だからこそ、応用できる何かがある――そう直感した。



次の瞬間、戦場の空気が一変した。

影が、滑るように走る。


クロウ率いる影葬衆が、魔物の隊列を切り裂いていた。

誠人の目には、彼らの姿は霞のように映り、次の瞬間には別の場所にいた。


「は、速っ……!」


驚愕とともに背筋が冷たくなる。

影の動きは美しいほど無駄がなく、まるで死そのものが形をとったかのようだった。


クロウが残す残滓を見て、誠人の心に再び火花が散る。

――もし自分の魔法を、こうした「速さ」と合わせられたら?

敵に気づかれぬ一撃を放てるのでは?



最後に、翠風団の雄叫び。

リオナの笛が鳴ると、風が渦巻き、獣たちが一斉に吠えた。


狼の群れが敵の背後を噛み砕き、猛禽が魔物の目を抉る。

そして何より、風そのものが仲間を守り、敵を押し流す。


その突風に煽られて、城壁の上の誠人の外套も激しく翻った。

風圧で胸が圧迫され、呼吸が乱れる。


「……生きてる。戦場が、生き物みたいに……!」


誠人は確かに感じた。

ただの魔力ではない、自然と心を重ねた戦い。

自分も魔力と自然の一部を繋げられるのでは――そんな発想が芽生える。


誠人の心の変化


五大軍団長の連携で、戦場は徐々に安定を取り戻していた。

兵士たちは胸を張り、矢を射、剣を振るい直す。


けれど誠人の胸の中では、別の戦いが始まっていた。


「ただ見てるだけでいいのか?」

「俺は、ここで何をすべきなんだ?」


熱気、衝撃、風圧、魔力の震え。

全てを五感で浴び、誠人の内に眠る力がかすかにうずいた。


リルが横で彼を見ている。

その瞳は、彼の迷いを見透かすように澄んでいた。


「誠人。あなたは“まだ”観戦者。今すぐ行くのは違う」

「……違う?」

「そう。あなたはきっと、自分の形でこの戦場に立つ。――私はそう信じてる」


リルの声が胸に染み渡る。

誠人は深く息を吸い、拳を握りしめた。



その時だった。


地平線の向こう。

整然と控える魔王軍本隊の背後に、四つの影が揺れた。


――四天将。


空気が震え、戦場全体に圧が走る。

そのうちの一人だけが、重々しい鎧に身を包み、黒き本体として姿を現した。

残る三人は影として存在感を示すのみで、やがて霧のように掻き消えた。


誠人は呼吸を止める。

鼓動が痛いほどに速くなる。


「……あれが……魔王軍本体……そして、四天将……」


リルは視線を鋭く前に向けた。

「今回は一体だけ。残りは影。――これはまだ、序章にすぎない」


誠人は震える拳を握り直す。

ただの恐怖ではない。

胸の奥で「立ちたい」という衝動が、静かに芽吹いていた。



戦況は五大軍団長の活躍で安定を見せていた。

だが、その安定の上に重くのしかかる影。


四天将。

真の嵐は、これから始まろうとしていた。


城壁の上で誠人とリルは並び立ち、次なる波を見据える。

誠人の心に芽生えたひらめきは、やがて彼を新たな魔法の形へと導くだろう。


戦いはまだ、ほんの序章――。

連投後は定期投稿になりますのでよろしくお願い致します m(_ _"m)作者

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