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【第二章 第七話 村を揺るがす異変と魔法の真価】

朝の光が村を照らす丘の上、誠人は深呼吸をひとつして周囲を見渡した。


畑の麦は穏やかに揺れ、家々の屋根は朝日を反射してきらめいている。


だが、村のはずれの森の中から立ち上る濃い霧は、何か異様な気配を漂わせていた。


「……今日も、何か起こりそうだな」


手のひらに意識を集中させると、体内に蓄えたエネルギーがざわめき、指先から微かな光が漏れる。


転生後に手に入れた力は、村周辺の異変程度なら完全に圧倒できることを、誠人自身も理解していた。


「小さな力の試運転、始めましょうか」


肩に飛び乗ったリルが、いたずらっぽく笑った。


「でも、今回は少し面白くなるわよ」


森の奥から、黒い霧に包まれた異形の魔獣たちが姿を現す。


小型のものは群れを成して飛び跳ね、大型の影は霧の中で蠢いている。


光の届かない体表を持つその魔獣たちは、通常攻撃はほとんど通用しない


「なるほど……手強そうだ」誠人は唇を噛み、集中を高める。


体内エネルギーを魔法の形で外に流す感覚は、未だに新鮮だった。


指先に光が集まり、光の矢となって森の方向に飛び出す。


小型の魔獣たちは光に触れた瞬間、縮小されるように消滅していった。


「はは、やっぱり私の推し魔法も効くわね」


リルは肩で跳ね、手から光の結界を展開する。


魔獣の群れを拘束し、動きを封じる。


誠人とリルの連携は完璧とは言えないが、力のバランスは確かに取れていた。


森の奥から、大型魔獣が現れた。


霧の中で巨大な影が揺れ、空気を震わせる。


「これ……かなりやばいな」


誠人は息を整え、指先に集めた光を波動として放出。


光の衝撃波が森を揺るがし、魔獣の足元の地面を砕いた。


だが、霧の中でその体は完全には見えない。


「任せて、私が補助するわ」


リルは笑いながら光の矢を散弾のように放つ。


霧の中で矢が跳ね返るように散り、魔獣の動きを鈍らせる。


誠人はそれに合わせて集中力をさらに高め、光の結界を展開した。


結界の中に魔獣を閉じ込め、束縛の時間を稼ぐ。


「これで……!」


誠人は体内の力を指先に集中させ、一気に光の波動を森の中心に打ち込む。


魔獣の体が光に包まれ、消え去った。


森の中に漂っていた黒い霧は、誠人の力によって徐々に薄れ、空気は再び静けさを取り戻す。



丘の上で息を整え、誠人は手のひらの光を消した。


「ふぅ……やっぱり力の制御はまだ完璧じゃないな」


リルは肩に乗り、いたずらっぽく笑う。


「でも、見事に制圧できたわね。あなた、やっぱり転生後の力を貯めこんで正解だったわ」


森の奥の静寂に包まれながら、誠人は冷静に戦闘を振り返る。


体内エネルギーを魔法として放出する戦闘スタイルは、村周辺の異変レベルならほとんど無双状態だ。


だが、制御の甘さで小さな被害を出さないよう常に気を配る必要がある。


「さて……次の課題は何だろうな」


誠人は丘の上から村全体を見下ろす。


遠くで村人たちが、驚いた顔で空を見上げている。


光の波動に目を細め、無事であることに安堵する。


リルは肩越しに小さくため息をつき、「次はもっと手強い相手になるかもね。でも、あなたなら大丈夫」と、いたずらっぽさと信頼が混ざった笑顔を見せる。


誠人は拳を握り、体内のエネルギーを感じる。


森の奥深くに潜む影を意識しながら、転生後の力とリルの協力で、これから訪れるさらなる試練に立ち向かう決意を固めた。


丘の上から見下ろす村の朝日、光と影の交錯の中で、誠人の体内の魔法の力は静かに、しかし確実に覚醒し始めていた。


小さな異変の連鎖が、これから大きな波となる――しかし、誠人とリルの前には、すでにその波を制する力があったのだ。

これで連続投稿は終わりです。

また毎週木曜日の投稿をお待ちください m(_ _"m)作者

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