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【第二章 第六話 序盤の試練と力の覚醒】

ちょっと投稿のストックが出来たので連続で投下します。

良かったら読んでください。

誠人とリルは村の広場に立っていた。


「さて、まずは異変の確認よ」


リルは空中で小さく跳ねながら、指先から微かな光を放つ。


誠人はその光を見つめながら、手のひらに力の感覚を集中させる。


体内に眠る転生後の力――

前世での経験を糧に蓄えたエネルギーが、微かに震え、指先からこぼれ落ちるのを感じた。


「なるほど……想像以上に強いな」誠人は静かに呟いた。


「そうでしょう?」リルはにっこり笑う。


「でも、まだ序の口よ。村周りの雑魚くらいなら、この力で問題ないはず」


その時、遠くの畑で異様な気配が走る。


麦の列の間を、何か小さな影が素早く横切った。


「……またか」誠人は眉をひそめ、リルを見た。


「あれを見てくれ」


リルがふわりと浮かび、手のひらから小さな光球を飛ばす。


「はい、あなたの力を使う場面ね」


誠人は意識を集中させる。


体内の力が指先から外へと流れ、光の粒となって畑を包む。


影は一瞬で動きを止め、畑の端に逃げ込んだ小型の魔獣――村では見慣れぬ雑魚だった。


「ほら、簡単でしょ?」リルは手を叩きながら笑う。


「……これなら、村人に危害が及ぶ前に対処できそうだな」


誠人は力の流れを確かめながら、雑魚を取り囲むように光を操作する。


魔獣は抵抗しようと体を振るが、力の壁に触れると力なく倒れ、畑に倒れたまま動かなくなった。


「……この力、俺の想像するより強いな」誠人は驚きの声を漏らす。


「でしょ?」リルは小さく飛び跳ねながら、指先で光の粒を操る。


「でもまだ本気出してないのよ。これからあなたが力を使いこなすための序盤の試練ってわけ」


誠人は力の感覚を分析する。


光の粒を操作する指先の感触、体内でざわめくエネルギー、体全体に広がる微細な振動。


「前世の戦いを思い出す……かすかな記憶が、今の力とつながっている」


リルは肩に飛び乗り、悪戯っぽく笑った。


「あんた、真面目に考えすぎ。序盤の任務は楽しくやらないと!」


その声に促されるように、誠人は軽く笑った。


確かに、この村周辺の小さな異変――折れ曲がる麦、夜に光る祠、消えた子供――

それらに対して、力の制御を確かめながら安全に対処する練習を兼ねるのだから。


午前中の間に、畑や小川、森の入口を巡回しながら、小さな魔獣や異変の兆候を次々に制圧する。


村人たちは、遠くからその様子を見守りつつも、危害が及ぶ前に異変が収まることに安堵していた。


「……力の扱いは、思ったよりも簡単かもしれない」誠人は小声で呟く。


「油断は禁物よ」リルはいたずらっぽく微笑む。


「でも、これであなたも力の感覚を掴んだはず。村の小さな脅威にはもう怖がることはないわね」


昼を過ぎ、村の広場に戻ると、子供たちが遊ぶ声が響く。


「佐竹さん!」小さな声が近づく。村の子供たちが、昨夜の光のことを興奮気味に話してくる。


「昨日の光、すごかったね!またあんなのが出てきたらどうするの?」


誠人は微笑み、手を軽く振る。


「心配はいらない。俺たちがしっかり見ているから」


リルは肩越しに囁く。


「……ふふ、あなた、自然に子供たちと話してる。まるでここにずっといたみたいね」


誠人は自分でも気づかないうちに、村人や子供たちと自然に接していた。


その違和感のなさに、どこか胸騒ぎを覚えつつも、力の制御を確認する時間として充実した一日を過ごす。


夕方、丘の上から村を見下ろすと、光が差し込み、穏やかな影が家々や畑を包む。


リルは小さく飛び跳ねながら、夕日の方向を指さす。


「今日の任務はこれで完了。さあ、次のステップに進む前に、力の分析と準備をしっかりしておくのよ」


誠人は拳を握り、体内の力を再び確認する。


――前世での経験と今の制御能力――それらを総合的に考えれば、村の小さな脅威には完全に対応できることを実感する。


「……この力は決して無駄にしない」


リルは満足そうに笑う。


「ええ、でも本番はまだまだ先よ。あなたが本気を出す時、村の安全どころじゃ済まなくなるからね」


その言葉に、誠人は胸を引き締めた。

――前世での戦い、転生後に貯めた力、そしてリルとの絆。すべてを駆使し、これから訪れる試練に備える時が来たのだ。

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