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【第二章 第五話 過去と現在】

誠人が村の小道を歩く背後で、リルが小さく笑った。


「さて、そろそろあなたの前世のことも、ちゃんと話さないとね。忘れちゃ困るわよ」


誠人は眉をひそめる。「前世の……俺?」


「そう。あなたは元々この世界の人っていうのは話したよね。前世では、世界最高峰の人類――私と同じく、世界では希少な存在だったのよ?」


リルはふわりと浮かびながら説明を続ける。


名前の長さだけでなく、存在そのものが希少種族である彼女が、誠人の前世でも共に戦った相棒であり、師匠でもあったこと。


「前世のあなたは……若くして才能を示し、勇敢だった。でも、無謀なところもあったわね」


リルは指先で小さな光をつまむように操りながら、微笑む。


「私はあなたを導き、共に魔王に挑んだの。けれど、あの時は力が足りなかった。魔王に敗れ、あなたは……転生の秘法を使い、別の世界に逃れたのよ」


誠人は静かに頷く。


かすかな記憶の残滓が胸の奥でざわめく。


どこか日本の幼少期の景色と混ざり合い、現実と記憶の境目が揺れる感覚。


「私は転生したあなたを見守り、封印した記憶を取り戻すタイミングを待ち、あなたを導く――それが私の役目」


リルの声には、どこか優しさと遊び心が混じる。


「でも、基本的にはいたずら好き。真面目ぶっても、すぐに限界が来るのよね、私って」


誠人は軽く笑った。「……相変わらずだな」


リルは目を輝かせる。


「そうでしょう?でも、これからが本番。あなたの転生後に貯めた力、本来の能力、それらを最大限に活かす時が来るわ」


誠人は手を開き、空気をかき分けるように力の感覚を確かめる。


体内に眠るエネルギーが、微かに震え、光の粒となって指先からこぼれる感覚。


村の周囲を見渡すと、雑草や木々が微かに揺れ、まるでその力を認識しているかのようだった。


「なるほど……これは問題なく対処できなきゃダメそうだな」


リルは軽く拍手をする。


「その通り。村人たちの安全を守りながら、訓練を兼ねて異変の確認。小さな怪我や災害の対処を通じて、力の制御と応用を身につけるわけ」


誠人は歩を進めながら、村の景色を改めて観察する。


折れ曲がった麦の茎、微かに揺れる祠の光、夜に消えた子供たちの記憶。


それらの小さな異変が、自分の前世の戦いと微かに重なる感覚――


前世の俺は、あの時も仲間と世界を見つめ、同じように危険を察知していた。


仲間を守り、世界の秩序を保つために力を使った。


リルは肩に飛び乗り、笑みを浮かべる。


「さあ…誠人、覚悟はいい?この力を、ちゃんと使いこなすんだからね。私も本気でサポートするわよ」


誠人は深く息を吸い込み、拳を握る。


「……ああ。この力を完全に制御してみせる。そして、あの時果たせなかったことも――」


小道を抜け、村の広場へと進む。


朝の光に包まれた村は、穏やかでありながら、どこか静かな緊張を孕んでいた。


子供たちの笑い声、家々の煙突から上る煙、遠くの丘の影。


すべてが、これから始まる冒険の序章を告げているかのようだ。


リルが肩越しに小さく囁く。


「まずは肩慣らしよ。村の安全を守りながら力の確認。そして、次の小事件に備えるの。ちゃんとついてきてね」


誠人は頷き、歩を進める。


転生後にため込んだ力、前世での戦いの経験、そしてリルとの絆



それらすべてを胸に、彼は村の小道をゆっくりと歩き始める。

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