第2話:母ちゃんの飯と色っぽい誤解
母ちゃんの家に連れ戻された俺は、ボロ長屋の土間に座らされた。
目の前には母ちゃんが炊いた粟粥が置かれてる。
粗末だけど、湯気が立ち上る粥の香りに涙が出そうになった。
「母ちゃん、俺、生きてるって実感が・・・・・・」
「何だお前、泣くな! 流れ者暮らしで頭おかしくなったか?」
母ちゃんは小柄だけど眼光鋭い。
史実じゃ影薄いけど、目の前の迫力は本物だ。
粥をガツガツ食ってると、兄貴が「藤吉、お前そろそろまともに働けよ」と説教開始。
「兄貴、俺には夢がある。天下とハーレムだ!」
「何!? ハーレムだと!?」
母ちゃんが箸を落とし、兄貴が目を剥いた。
「母ちゃん、兄貴、俺は秀吉になる男だ。美少女たちを娶って楽園を築く!」
「お前、頭打ったのか!?」
母ちゃんに頭叩かれたけど、俺の決意は揺らがない。
その時、戸口に女の声が響いた。
「おばさん、藤吉いる?」
入ってきたのは、さっきの美少女だ。
名前は「おまつ」だと母ちゃんが教えてくれた。
おまつは俺を見て「水返せって言いに来ただけだよ」と冷たく言う。
でも、その立ち姿がまた色っぽい。
麻の着物から覗く首筋が白くて、俺、つい見とれた。
「お前、何ジロジロ見てんだ!」
おまつが顔を赤らめて怒鳴る。
「いや、その、首が綺麗で・・・・・・」
「何!?」
おまつが手に持ってた洗濯棒を振り上げた瞬間、母ちゃんが「藤吉、お前変な気を起こすな!」と俺の頭を叩いた。
「誤解だ! 俺は純粋にハーレム目指してるだけだ!」
「純粋!? お前、顔がスケベだぞ!」
おまつが洗濯棒を振り回して俺を追い回す。
ドタバタの中、兄貴が「こいつ、昔から女好きだったからな」と笑ってる。
俺は逃げながら叫んだ。
「おまつ、俺のハーレム第一号になってくれ!」
「ふざけんな!」
洗濯棒が俺の背中に命中し、俺は土間に転がった。
痛いけど、おまつの怒った顔が可愛くて、俺のハーレム計画は一歩前進した気がした。