閑話 ホワイトピース
『今回の氾濫は『ダンジョンウォーカー』がダンジョンに潜りモンスターに危害を加えたことで起こったことです』
駅前の広場には100人を超える人たちが集まり、その中心に『モンスターは生き物だ、動物と同じ保護を
ホワイトピース』と書かれた旗を持った女性が拡声器を使い演説している。
『いきなりモンスターが日本だけ小規模の破壊のみで引き揚げたことに疑問を覚えませんでしたか?いまだに世界各地ではモンスターが跋扈している地域があるというのに。その理由は、私たち『ホワイトピース』がこの日本を本拠地として活動しているからです』
サクラなのか、合いの手が入りそれにつられて他の人も声を合わせている。
話の内容はつい先日『神罰の日』と名称されたダンジョンの氾濫にて、日本だけ最初の数分間ダンジョンの周りでのみの破壊活動で終わったことを、自分たち『ホワイトピース』の活動のおかげと言い張る内容である。
いささか無理やりにも聞こえなくもない内容であるが、実際に諸外国と比べて被害が圧倒的に少ない状況に政府からの明確な回答がないことと、テレビに出てくる多数の自称有識者による見解の違いに不安を持っている通行人が幾人も足を止めて、聞いている。
『政府はこのことを隠蔽し、私たち『ホワイトピース』の活動に制限を制限しています。今必要なのは海外への食糧支援でも、『ダンジョンウォーカー』の派遣でもなく、ダンジョンでのモンスターの虐殺をやめることです』
詳しく聞くとおかしなことであっても、周りの人が肯定している状況では、それが正しいと錯覚してしまうもので、集まってきている人たちは話にのめりこんでいく。
『私たちは、抗議します。この世界で今一番正しいことをしているのは私たち『ホワイトピース』であり、『ダンジョンウォーカー』は悪なのです』
人があまりに集まり過ぎたのか、警察が出てきて許可書の提出を求めてきた。
許可を取っていなかったのか、演説を行っていた女性は、旗等を小脇に抱え、人ごみの中に消えていった。
それを確認した、警察は解散を呼び掛けていく。
後日、新聞に『ホワイトピース』に関する記事が小さく乗ることとなる。
今回の演説の内容をまとめた内容であったが、同じ日の1面には、『神罰の日』にモンスターの進行を押しとどめた青年についての記事が書かれることとなった。
くしくも、『ホワイトピース』の主張が間違っているとの証明にも見えるが、それでも『ホワイトピース』の所属人数が増えていることを考えると、政府に対して不信感が強まっているのかもしれない。




