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カード顕現~眷属だけが頼りです~  作者: えでぃ
1章 教育、講習そして契約
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閑話 世界は動き出す

『HEY!今日で終わりなんだぜ、なんで暗い顔してるんだよ』


『いや、15-10にしてはあまりにも簡単すぎるから不安になってきてな』


『それだけ俺たちが強くなったってことだろ、心配し過ぎだって』


小高い丘の頂上に祭壇が祭られている場所の周りに野戦築城を施した場所の前で、2人の男が談笑しながコーヒーを飲んでいる映像が映し出されていた。


「これが、ペルーにあるリマのQ型ダンジョンにてクエストに失敗した映像です」


部屋は暗いため顔は確認できないが、100は超える人が階段状になっている座席から壇上に目線を向けていた。

壇上には、『研究者』の異名を持つ男が映像の説明を行っている。


『心配だから装備の確認だけはしておけよ』


『へいへい、やっておきますよ』


若い男が適当に返事をしながら手持ちの火縄銃の手入れをはじめ、撮影者は陣地を見回り始めた。


「Q型ダンジョンはL型ダンジョンと違い、リタイヤ用の道具が開始時に支給されることはご存じと思います。そして、一度リタイヤしても失敗しない限り何度でもやり直せることも。過去に一度ニューヨークにて失敗の例がありますが、今回もその時と同様に、装備のみが排出されました。その中に一部始終を撮影した映像が残されていました。それが現在ご覧になっている映像です」


『研究者』は大きな身振り手振りで話を進める。

あまりに動きが大きいため、マイクに声がうまく乗らないのか時々声が小さくなる。


「失敗したこと自体は大したことありません。いや、リタイア用の道具を使うことが出来なかったこと自体は問題だが、そんなことより、失敗してもクエスト一覧から消えないことが問題です。前回のニューヨークでは2-3と比較的難易度が低かったために消えたのか、それとも別の要因か」


映像は陣地を一周し終えて、丘を登り始めた。


「しかも、クエストを受注できないなんて、他の2つは受注できるのに、この『15-10祭壇ヲ血ニ染メルナ』に関しては触れることができない。それの意味するところは現段階では仮説ならいくらでも言えるが、証明できないので発言を控えさせていただく」


テンションが急激に下がり、抑揚の無い声で区切り映像を指し示す。

映像には、丘を登り切り各段が1mの階段が3段積まれておりその上に幾何学模様が書かれた、台が置かれている。台の後ろには高さ5mほどある悪魔のような像が置かれており、像の持っている石造りの剣が今にも台の上に振り下ろされようとしている。


『ビジー3からビジー1へ、時間だが誰も起きてこない、指示も求む』


祭壇がいろんな角度から映し出されていると、無線が入り拠点へ振り返る。


『ビジー1からビジー3へ、最終日だから怠けてるんだろ。今祭壇の前に居るから起こしてきてくれ』


『イエッサー』


段差を上がり台の前で視界を確保すると周りを見渡す。

丘の周囲はあたり一面森となっているが不思議と丘の周囲10m付近には1mを超える草も生えていなかった。そして、襲撃があったと思われる痕跡と死体が見て取れた。

一通り見渡すと、先ほど話していた若い男がテントに入っていく。それを見届どけ振り向こうとしたとき笛の音が高らかになった。


『ビジー1へ、就寝中の隊員すべてやられます。刃物による攻撃で喉と心臓を確実に貫いてます』


『馬鹿な、そのテントの近くに一晩中いたんだぞ』


『アンダー2からビジー1へ撤退を進言します。15-10を8人で持ちこたえるのは不可能です』


矢継ぎ早に無線が入り、作戦続行が不可能と判断したのか撤退用の信号弾の紐を引こうとしたとき、ゴリゴリと石がこすれる音とともに剣が後ろから現れた。


『ガハッ・・・なにが』


ボディーカメラが外れたのか画面が激しく揺れ止まると、悪魔の像が背後から男性の胸を串刺しにしたままの剣を台に突き刺す瞬間が逆向きに映し出されていた。


「この後、映像はダンジョンの入り口に飛びます。このテントの襲撃者もわからなければ、この像がなぜ最終日に動きだしたかも謎。はっきり言えるのはこの野戦築城は失敗だったでしょう。このクエストは『祭壇ヲ血ニ染メルナ』であるが祭壇とは?どこまでの範囲が?このわかりやすく木の生えていない場所は?調査の際になぜそこを考えなかったのか理解に苦しみますね」


映像が冒頭に戻ると『研究者』心底愉快そうに話始めた。


「この失敗は『神託者』の神託の内容の1つと考えるべきか?もちろん神託の内容の1つと考えるべきだろう。こんなあからさまな悪魔の召喚場みたいな場所で血をささげるなんてこれから不幸をおこしてくれと言っているようなものじゃないか。これだけで地獄の蓋があふれるのか、それとも別の要因がまだあるのかわからないが確実に言えるのは神託は覆ることはない。地獄は目の前だ」


まるで演劇の主役のように決めると一礼をして壇上を後にする。


その後、会場は喧騒に包まれ、あわただしく会場の外に飛び出す参加者。


誰も居なくなった会場に悪魔の像が剣を台座に突き刺す音が大きく鳴り響いた。









主人公のスキル取得がトリガーなのか・・・

この事件がトリガーなのか・・

それとも最初の神託者の神託なのか・・

この後、世界は混乱していくと予想されます。

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