グール&フライングレフト
佐藤さんを先頭にダンジョンに入ると、なぜか壁が白く光る洞窟が現れた。高さは2m程度幅は1.6mと2人が並んで歩けるが武器を振り回すには心もとない広さしかなかった。
「私が先頭で、小岩井が殿を担当それ以外は並んでついてきてください。心配しなくてもここには、奇襲ができるモンスターもいませんし、いても対処可能です」
進み始めた佐藤さんの後をついていくと、グールと思わしき身長1.3mの猫背で、顔がただれたような見た目のモンスターが現れた。
「グールが戦いを挑んできた。それを迎え撃つのは佐藤隊長だ。まずは先制攻撃グールの噛み付きが炸裂する・・が、さすが隊長これをよけもせず左手で叩き落とした。まるで蠅や羽虫とでも言わんばかりの動作だ。おおと、グールはまだ死んでないぞ、これは手加減しすぎてるのではないですかね?どう思います?解説の小岩井さん。」
「そうですねこれは新人に毎回見せるために行っている行動のようですね。」
「ここで鞘から抜いたのは片刃の直刀だ。だが、抜いたのにグールが生きているだと・・・このグールは強いのか。」
「解説の私が思いますに、本気を出すと新人では見えなくなるので、あえて構えをとったのでしょう。」
「おおと、解説を行ってるうちにゆっくりグールを切断していくぞ。まずは右手、左手、両足、胴体、最後に首だ。」
「このグールというモンスターは首を切るまで動き続けるので最後に首を落としたのは正解といえますね。」
暇なのか、小岩井さんが実況と解説を楽しそうに一人で行っていた。
解説は為になるが、実況と解説でテンションと声を変えるのでくすくすと笑いが起きてしまう。
「お前は、さっき怒られたばかりで何をしてるんだ」
「いやいや、新人さんたちに佐藤さんが何をしているか、解説してただけですよ」
先頭にいた佐藤さんがいつの間にか小岩井さんにアイアンクローをして、宙づりにしていた。
「解説としては確かに小岩井の言う通り、あえて攻撃を誘発して、ゆっくり攻撃を行ったが見えていたと思う。グールに関しては首を落とさない限り、攻撃をやめないので最後まで気を気を抜かないように」
そういって、小岩井さんを前方へと放り投げた。その行動に唖然と目で追うと、小岩井さんの手にはナイフが握られていて空間に突き立てていた。
そして戻ってきたナイフの先には左手が串刺しになっていた。
「このフライングレフトは親指を切り落とすまで油断しないようにすること。そして、間違えても小指は切らないこと、間違えて切ってしまうと狂暴化して面倒になってしまいます。基本の攻撃としては首を絞めてくるので、つかまると剥がすのが大変なので注意すること」
と言い残すと、親指を切り落とす。
切り落とされた先から崩れるように消えていった。
「このように、ほとんどのモンスターの弱点は分かっているため勉強は怠らないようにしてください。それでは先に進みます」
また、隊列を組みなおし先にへと進んでいく。
小岩井が陽キャ過ぎてきついです。




