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マーガレット・コージャロス

「え。会ったことありましたっけ?まぁいいや。じゃあ、お言葉に甘えて。貴方も転生者ですか?後、『ときディス』をしってますよね?」


 なにを言ってるんだろう。転生者って何?『ときディス』って何?10歳を過ぎた位の子供が感じる全能感の表れで幻想を抱いてしまうっていうアレかな?

 あのときは落ち着いていて大人っぽく見えたけど、妄想と現実の区別のついてなくて子供みたいだなぁ。

 話を合わせてあげたほうがいいのかな、一応恩があるし。


「そうだよ、僕も転生者だよ。『ときディス』も少しなら知ってるよ。」


「なら、なんでシナリオ通りにしないのよ!ハッピーエンドにしたくないの!信じらんない!モブはモブらしくシナリオを大人しく見てりゃいいのよ!そもそも貴方の目的は何!何がしたいの!」


 少女がぜぇハァぜぇハァしながら、顔を赤くしてこちらを批難するように捲し立ててくる。


 凄い興奮してる。顔真っ赤っかじゃん。しかも少し涙出てるし。ヤッバ、もしかして妄想と現実の区別がつかないんじゃなくて、クスリでもヤッたのかな。

 気にしてなかったけど、ここまで来るのにそこまで息を切らすのは異常だ。汗も凄い出てる。


 異常な興奮、多量の発汗、心配機能の低下、現実の認識能力の著しい欠如。

 この症状は、実験体に新薬を試したりするときに、偶に発生する症状に良く似てる。自分から摂取する人がいることは知識として知ってたけど、ホントにいたなんて。体に負担が掛かるし、思考力も低下するし、良いことなんてないのに、仕事でもないと誰も摂取しないと思ってた。

 刹那的な生き方だな。早死しそう。


「ねぇ!ちょっと聞いてるの!?シナリオが変わったら、この国がどうなるかわかんないんだよ!良いのそれでも!」


「え、ごめん。聞いてたよ。知ってる知ってる。アレだよね、アレがソウなるからだよね。ソウ成らないためにもコッチをア〜すれば良いと思ったんだよ。この国は僕も好きだからね、シナリオは厳守するよ。もう干渉しない、約束するよ。」


「本当でしょうね!約束よ!じゃあ、情報交換しない?恥ずかしいんだけど殆ど覚えてなくて。元々私はゲームの大筋を知ってるだけだから、そんなに細かく知らないのよ。だから情報の擦り合せしない?15年も前の記憶だし、主要キャラと大まかなシナリオしかわからないのよ。

そもそも『乙ゲー転生』の主人公ってさゲーム好きすぎない?ゲームに人生捧げ過ぎよね、ありえなくない?普通あんなに細かく記憶しながらゲームしないよね。大体王道展開のゲームって似てるシーンがあったりして記憶が混ざるじゃない。1個しかゲームしないなら分かるけど、複数やるんだから普通ごちゃまぜになるわよ。ゲームなんてそんなもん――――」


 僕の言い訳、なんも内容が無いけどそれで納得出来たんだ。

 長い。しかも途中から愚痴になってた。さっきまであんなに興奮してたのに、落ち着いてきてる!

 思考力の低下、情緒不安定。症状が追加されてく。彼女の体はボロボロなのかも。

 もう間違いなく変なクスリを飲んでいる。妄言が酷い、なんで周りはこんなになるまで放置したんだ。

 特に国の災いを予言するなんて、妄言にしても正気じゃない。


 治してあげたいけど、こんなに症状が出てるからにはクスリが身体中に浸透してる証拠のようなもんだし、クスリの種類も薬効もよくわからない。

 治してあげるには、『総入れ替え』か、『再生』の固有魔法の使い手に何度も施術してもらうしか思い浮かばない。

 でもなぁ。『総入れ替え』は患者が納得しないんだよね。生き長らえることは出来ても、記憶が無くなって、何も考えなくなる場合が非常に多くて、基本的に成功した場合が殆ど無いからなぁ。


 『総入れ替え』は、固有魔法や魔術によって人工的に創った体のパーツを使って全て入れ替える医療行為。


 あ、落ち着いてきた。ようやく話が終わった。

 多分彼女は僕が殿下やピンク頭の平民の近くに寄らないで欲しいらしい。妄言が多くて分かりずらかったけど。

 あんまり刺激しちゃうと、彼女の体に障り(さわ)そうだし、言うとおりにしてあげようかな。

 彼女の癇に障る様なことは控えてあげるべきだと思う。クスリは自然と外に出るのを待つのが1番。その間また、クスリを摂取しないようにストレスは出来るだけ感じないようにしないと。

 それとなく助言したほうがいいか。


「うん。そうだね。君の言う通りだと思う。あんまり(ストレスの掛かりそうなことに)関わらないで自分の命を大切にした方が良いと思うよ。所で君の名前を教えて欲しい。僕はチェース・アルレキーノ。医療に詳しい家系だから、君の助けになると思う。」


「あら、言ってなかったからしら。私はマーガレット・コージャロスよ。宜しくね」


「宜しくマーガレット。僕は帰るけど、自分を大切にね。じゃあ。」


 じゃあね。と返事をして、僕と反対側を歩いてった。

 どうやらパーティーに参加するようだ。さっきまで息を切らせてたのに元気だなぁ。

 コージャロスだと確か子爵だな、多分。

 大体伯爵家以上じゃないと、領地の経営だけで、独自の研究はしてないから特に彼女の家にようがあることはないな。

 それにしても、クスリに逃げねばならない程の問題がコージャロス家にはありそう。深堀したら楽しそうな気がする。



お読みいただきありがとうございます

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