王立守護学校
数年後です。
僕の固有魔法をあの後検証した。
どうやら、僕がよく知るもの限定で魔力を少し多く使うと、偽装の元になったものと同じ効果を再現出来るらしい。
ただ、耐久性は少なくて殴られたりすると、消える。
また、長時間放置すると追加で魔力を送らないと消えてしまう。
後、ゴブリンや豚で試した後、希望者を募って、内臓を入れ替えたりして、検証した。
無事に成功した。患者は、僕の固有魔法の内臓で何ともなく生きていられた。くっつけるときに治癒の魔術が必要だったけど。
僕の固有魔法は、根治は出来ないけど、出来る人を呼ぶまでの延命処置をすることが出来ると分かった。
僕はその後、固有魔法を使って、母様と一緒に治癒院で怪我人の治療をすると思っていた。
だけど、母様は研究することがあるらしくてほとんど会えなかった。
僕は王都の治癒院で死にかけの病人や怪我人の延命をし続けた。再生や回復の固有魔法の使い手や母様の研究成果がくるまで、持たせる仕事をしていた。
必死に生きようと足掻くのを見るのは、興奮した。
そうした仕事をしていたら、学校の入学の知らせが実家よりきた。
学校かぁ、そんなのもあったな。
初等部は、一応自由だったけど、高等部は、貴族の義務だったかな。
学校、学園、砦、色々呼び方はあるけど、正式名称を「王立守護学校」って言うらしい。
今は、戦争をやってないけど、戦争をしていたときに、貴族の守るべき者を1箇所に纏めて守るための施設だったらしい。
で、目的はいくつかあって。
1つ目は貴族として恥ずかしくない教養と魔術が使えるように育成するため。
2つ目は知り合いや友達などで家同士の繋がりを強化するための場所。
3つ目は親元を離れさせ、不自由を感じさせて、貴族が覚えづらい我慢を覚えさせるため。
後、失敗しても良いパーティーで夜会とかの練習っていうのもあるかな。
でも、最後のは違うかなあ。
何でも王立守護学校で友人をつくりやすくするためっていうのと、平民が学びやすいように一応無礼講らしい。
でも無礼講なのに夜会とかパーティーの練習にはなるのかなぁ。
平民は優秀な者しか入れないから、将来の国に貢献するであろう平民につばを付けとくのもありかな。
夜会といえば、僕は全然いってないなあ。
最後に行ったのは、固有魔法を覚える前だから…
あ!あの大人びた少女に感謝を伝え忘れたなぁ。それに、皆んなも元気かな。そんなに気にならなかったけど、元気にしているかな。
少し楽しみになってきたかも。成長して凛々しくなった僕の顔を見て惚れられてしまうかな。
それにしても。いや~、我ながら働き過ぎたな。殆ど治癒院に住み込みで働いていたからなぁ。
態々、父様が豪華な屋敷を使っていいって、言っていたけど、全然行かなかったな。
父様や母様が王都に来たときも使わなかったし。
あぁだから、母様に会えなかったのか。
母様は、研究しながらも子供を産んだらしくて幼い妹と王都に来ていたこともあったらしい。
僕の使用人がそんなことを、伝えてきたこともあった。
因みに父様に対する復讐は無事に成功している。
父様が王都に泊まった時に夜中に忍び込んで、(護衛には見つかったけど)父様の顔の近くに血に塗れた父様のムスコそっくりのものを置いた。
翌朝に屋敷で絶叫が響いて最高だった。復讐と関係ないけど、今後もやってあげようと思う。
親子の仲は良好な方がいいからね。
***
暫くして、手紙が届いた。学校からだ。
どうやら、僕の住む場所が整ったらしい。いつでも入寮出来ると書いてある。
後、入学式の後にパーティーがあるらしい。ドレスコードの指定は、特にはない。
う~ん。ドレスコードの指定はなしかぁ。パーティー自体は2、3ヶ月後だから、礼服を仕立てる位の時間はある。でも、そうか、指定しないのか。
平民のためかな。多分平民は制服を着るんだろうな。
でも、そうすると貴族と平民が一目で分かってしまうな。せっかく制服っていうのを作って貧富の差を分かりづらくして、家の事を考えずに友達を得るっていうのが、意味を無くしちゃうなぁ。
平民だけでなく、下級貴族も苦しいだろうに。
これは、もしかして、王族や上級貴族がどんな格好でも良いってことを率先して魅せてあげた方がいいのかな。
それにしてもまだ、子供だからかな。ドレスコードの指定が無いなんて、普通の夜会とかでやっちゃうと、殆ど裸の人やゴブリンの皮を剥いだ物を被ってくる人様な人もいるのに。
あれ?これは、求められてる?ドレスコードの指定が無いパーティーは何処までやっていいのか、良識ある貴族に実演してほしいのかな。
む。これは難しい。ドレスコードの指定が無いっていう縛りみたいなものだな。
指定がある時の様な格好だと、逆に良識が無く見られるな。
僕なら何を着たものか。出来れば目立って僕らしい格好がいいな。遠目でも僕の家が何処かわかる、されど格式張った格好にならないように、平民を萎縮させないように。
難問だな。だから、こんなに前に手紙が来たのか。
でもこれ、何人気付くんだろ。上級貴族としての教養を試される最初の難関だ。僕ぐらいだろ。こんな手紙にこんなに思考を巡らすのは。
流石長い歴史ある学校だ。学ぶのなんか、家庭教師で十分だと思ってたけど、中々楽しそうだな、学校生活。
因みに、場所は王都に近い場所に学校のための街があって、その中心に学校がある。生徒は理由なく街の外には出られないらしい。それで、ストレス発散と学校関係者のための街になってるらしい。
お読みいただきありがとうございます。