My dear

プロローグ

【プロローグ】

冷たい風が通り過ぎていく。

見向きもせず。

ただ少女の銀髪をなびかせて。

青白く冷たく光る街灯が少女の輪郭を照らしだす。

少女の瞳は光をなくし、ただ涙だけがこぼれ落ちていく。

少女の心はここにはなかった。

いや、どこにもなかった。

遠くから響いてくるサイレン。

横たわったトラック。

真っ赤に染まった世界。

何も少女の心に入ってこなかった。

ただ少女の心には、「死なせた」という罪悪感と喪失感でいっぱいだった。