小人族
冒険者ギルドを出たシンたちは、この町唯一の宿屋に向かった。
「頼もう!」
シュバは誰も見当たらない宿屋のカウンターで大きな声で呼びかけた
「なんだい! そうな大きな声出さなくてもきこえるよー」
人影は見当たらないが声だけがどこかから聞こえる!透明人間か?
「どこ見てるんだい、ここだよ!」
「おおっ!」
カウンタの下を覗き込んでみると人がいた! 人なのか背丈は80cmくらいしかない老婆がそこにはいた。
「なんだ小人族か!」
シュバは特に驚くことはなかった。
「そんな種族がいるのか!」
シンは心の中でひとりドキドキしていた。
後でシュバに聞いたところによると。小人族はドワーフよりも小さくて商売上手なものが多いらしい。他にもエルフや、獣人族も世界にはいるらしい。
魔物がいるのだから、いても当然か! いつかあってみたい! シンは心の中で誓っていた。
「今晩泊まりたいんだが! ちょっと大人数だが大丈夫か?」
シュバが普通に小人族と話している。シンはちょっと感動していた。
「相部屋は3部屋しかないよ。それでいいかい!」
老婆は無造作に3部屋分のカギを出した。
「ああ、かまわない。いくらだ?」
シンが思い切って、老婆に話しかけてみた。
「一人銀貨2枚だよ。」
老婆は右手を出して金を要求した。
「安っ!」
シンは思わず声を出してしまった。
金貨1枚と銀貨8枚を出してシンはカギを受け取った。
「部屋は2階だよ。朝飯が付いてるから、明日1階で食べてきな!」
老婆は食堂らしい部屋を指さした。
「おおっ」
銀貨2枚で朝飯までついてるのか、シンはウハウハだった。
シン達は、全員で部屋を確認してみた。3部屋ともすべて同じ作りで、それぞれに2段ベッドが2つずつあった。
シンとシュバとイオが1部屋、ケイともう一人の女性の元盗賊が1部屋、残りの4人が1部屋という部屋割りにした。
シン達はそれぞれ部屋に入った。
皆疲れていたのか、話をする間もなく眠りについてしまった。
シンだけは明日の食事のことを考えワクワクしてしばらく寝付けないようだった。