肉の買取り
無事、町に入ることができた一行であったが、今や総勢9人の大所帯である。宿屋に泊まるにしても先立つものがなかった。
「本当は疲れてるから宿屋に行きたいが、まずは冒険者ギルドで魔石を換金しないとな」
シン達は町のギルドに向かった
小さな町であるためギルドがあるか不安だったが、門番に聞いたところこの町にも冒険者ギルドがあるとの事だった。
シン達は門番に聞いた冒険者ギルドがあるという建物についた。そこは田舎の公民館のような建物であった。
シンは入口の引き戸を恐る恐る開けた!
中にはカウンターが一つだけあり、60代くらいのおばあさんがカウンターの向こうに座っていた。
「ここは冒険者ギルドでしょうか?」
シンはおばあさんに声をかけてみた。
「そうだよ、こんな時間にあんたら何しに来たんだい!」
おばあさんはうざったそうに話した。
「魔物を討伐したので、魔石の買取りをお願いしに来ました」
「買取りカウンターはどこでしょうか?」
シンは明らかに他に誰もいないのはわかっていたが、あえて聞いてみた。
「ここが買取りカウンターだよ! 他に冒険者カウンターでもあるし、依頼受付カウンター、鑑定カウンター、なんでもカウンターさ」
「私はこの町の冒険者ギルド長。といってもこのギルドの職員は私だけだ。イヒヒヒ」
受付のおばあさんはギルド長だった。ちょっと不気味だ。
シンは、ここのギルドで買取りしてもらうか迷ったが、次の町にギルドがある保証もなく決心した。
「それでは、ちょっと多いですが、魔石の買取りをお願いします」
シン達はすべての魔石をギルド長に見せた。カウンターには乗り切らないため、袋から出して床にも並べた。
「・・・・こんな時間に」
「あんたこのギルドは私一人でやってるっていたよね!もう閉店時間だから、査定やなんかは明日しか無理だね。」
ギルド長は吐き捨てるように言った。
シンは困った、今日中に買取りしてもらわないと、今日の宿代もないからである。それにジャイアントボアの肉の買取りもお願いするつもりだった。
「今日一部だけでも買取りお願いできませんか?」
「このジャアントボアの肉だけでも・・・・」
シンはきれいに解体したジャイアントボアの肉や牙をギルド長に見せた。
「おおっ、これはジャイアントボアかい! 私はこれが大好物なんだよ!!」
ギルド長は飛び跳ねて喜んだ!
「魔石は無理だけど、この肉は今日でいいよー」
そういうとギルド長は、カウンターに置いてあった魔石を床に払い落として、ジャイアントボアの肉をカウンターに置いた。
シン達は床に散らばった、魔石を拾い集めた。
「この量なら、金貨30枚だね!」
ギルド長は魔石や他の曽合には目もくれず、肉の鑑定を済ませた。
「金貨30枚は相場よりかなり安いな! 金貨35枚じゃないと、買取りなしだ。それに10キロくらいはオレたちの食材にするから戻してもらう」
シンは少し強気に攻めてみた。
「わ、わかったよ。それじゃ金貨33枚で、肉は10キロ持っていきな」
ギルド長は焦った口調で新たな提案をした。
「いいでしょう。残りの買取りは明日お願いします。」
シンは丁寧な口調で答えた。正直買取の相場なんてわからなかったが、買取り金額が上がってよかった。
シン達は納得して冒険者ギルドを後にした。
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