出会い
「さてさて、命拾いしたのかの。おい、そこの緑の!生きておるか?」
老人は落ちていた大剣を広い、緑の何かをバンバン叩いてみた。
「んっ?うわーーーーーっ」緑の何かはマルオであった。マルオは崖から落ちた衝撃で
気絶していたが、老人の激しい介抱?に飛び起きた。
「イタチは? イタチはどこだ」マルオは周りをきょろきょろしてイタチを探した。
マルオはイタチから死に物狂いで逃げている途中、大きな地滑りに巻き込まれ大岩とともに崖下に落ちてきていた。
「なんじゃ、イタチとは?」
老人はマルオに声をかけた。
マルオはその声に気が付き声の方角に振り向いた。
「人間だ!人間!」マルオはこの世界で初めて人間にあった。
戦うか?オレはゴブリンだ!しかし、イタチに勝てないオレに勝てるのか?
マルオは短い時間の間に、そんなことを考えていると。
「ゴブリンか! これは珍しい、まだ生き残ってったか!」
老人はマルオをみて少し驚いたようだったが、すぐに落ち着いたようだった。
こいつ、あんな大きな剣をもっている。くそっ、戦うしかないか!
マルオは落ちていた、枝を広い老人に向かって枝を振り下ろした。
老人はマルオの攻撃をひらりとかわし、
「落ち着かんか! バカモンが!」
老人がマルオに活を入れると、マルオの体は固まって硬直してしまった。
「わしは、おぬしの敵ではない!」そういうと持っていた大剣を投げ捨てた。
「そもそも人間でもないしの」
マルオはその言葉を聞いて、再び気絶してしまった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
数時間が過ぎて、マルオは再び目を覚ました。目の前には焚火にあたる老人が、何かを食べながら、こちらを見ていた。
「気が付いたか! お前も食べるか?」
そういうと老人は枝に刺した肉の塊をマルオに手渡した。
マルオは、無我夢中で、その肉をほおばった。
「そんなに急いで食べんでもまだあるぞ!たまたま、イタチが転がっておってな」
老人が指さした先には、あのイタチの無残な姿があった!
手渡された肉を食べ終わると、マルオはやっと落ち着きを取り戻した。
「んッ? 何か変だ? オレの体、何処もいたくないぞ! 肩の傷もなくなってる!」
「おおっ、おぬしの傷なら治しておいたぞ!」
「えっ、ありがとうございました」
マルオは驚きながらもお礼を言うことができた。
それからマルオは、焚火の日の前で、老人に自らのことを語りだした。
1年間の洞窟の暮らし、洞窟を出てからのイタチとの戦いについて。
老人はニコニコしながらマルオの話を聞いてくれた。
マルオは、心から安心した気分になっていたが、ずっと気になっていたことがあった。
「質問していいですか?」 マルオは真剣な表情で老人に問いかえると
「人間じゃないって、言ってましたが? どういうことですか?」
「ああ、そのことか!」
「わしは、魔王軍の最高幹部で大魔導士シュバインじゃ!」
「種族でいえば悪魔じゃな!」