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老人A

「はあ、はあ、はあ、わしもここで終わりかの」

 見たところ70歳ほどにみえる、老人は3人の屈強な男たちに囲まれていた。

「こんな老人一人をよってたかってイジメおって、おまえら最低だの」

「問答無用だ! おれたちはお前の首をもって国に帰るまでだ!」

「グロイこと言うのー」老人は軽口をたたきながらも、その額には汗が噴き出していた。

 男たちは大剣や大斧、長い杖をもって、逃げられまいと老人の行く手をふさいでいた。

 老人の後ろには20メートルはあろうかいう崖が立ちふさがっていた。

「思えば、わしも長く生きたからのー、ただ一つだけ心残りがあるとすれば、最後はこんなごつごつした  男でなくて、かわいいお姉ちゃんの胸の中で眠るように死にたかったのー」

 老人は真剣にそんなことを考えながら、目を閉じて思いにふけっていた。

「無粋な奴だのー、そんなことだからモテないんだな」

 老人はその長いひげに触れにやにや笑いながら応えた。

「何を! オレは来月結婚を約束した、かわいいフィアンセがいるんだ!」

「それは、かわいそうなことだな。 今なら間に合う、その子のためにもここで死んだ方がよいかな」

 大剣を持った男は顔を真っ赤にし、毛を逆立たせて、怒り狂った。

「なんとか、この隙に逃げられんもんかの」老人は大剣の男をからかいながらも冷静にあたりを見回していた。


「ゴゴゴゴゴ、ゴロゴロゴロゴロゴロ、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴごーーーー」

 その時激しい地響きが鳴り響いた。


「みんな気を引き締めろ、奴が何か攻撃を仕掛けているに違いない」

 杖を持ったリーダーらしき男が他の2人に話しかける。

「おお、そうだな! やつのことだ、このまま終わるとは思っていなかった!」

「おれもそうだ!」

 3人はそれぞれに自分自身を含めて気を引き締めるように声を掛け合った。


「やれやれ、わしは何もしてないが・・・・、まあ何か起こってくれれば、いいとは思っていたが」

 老人はにやにやしながら3人の男たちを見つめていた。


「グワッッシャン!!!!」 

 大きな音とともにあたりは土煙に包まれた!

「まったく、今日は厄日だな!」そんなことを言いながら。老人は土煙が晴れてくるのを待った。

「うおッ!」

 老人は思わず、多くな声を出してしまった。

 老人の眼前1メートルに20メートルはあろうかという大岩が転がっていた!

 そこは3人の男たちがたっていた場所であった。男たちの姿はなく、ただ大剣のみが傍らに転がっていた。

「まんざら、悪い日でもなかったかのー」老人はにやにや笑いながら、大岩の周りを調べると・・・・

「オッ! 何かおるの!」

 老人は緑の小さい人影を見つけたのであった。


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