イオのおしゃれ
旅立ちの朝を迎え、三人は街の入口のゲートの前にいた。
「しっかりと別れは済ませたのか?」
シンは二人に尋ねた。
「ああっ!」
シュバはすっきりした表情である。
「愛を確認したぜ」
チコちゃんのことを思って、岩に足をかけて遠くを見ているイオである。
「・・・・」
「まあ、なにはともあれ出発だな、行くぞ!」
「おう!」
三人はさっそうと歩きだした。
目指すはダンジョン街アプロンド!徒歩では1カ月近くかかる道のりである。
Gランク冒険者である三人の装備は心もとないものであった。
シュバこそ、父から譲り受けた聖者の剣を装備していたが、シンはこれまで貯めたお金でやっと購入できた鉄製の斧、イオにいたっては、竹の槍である。
「お前、そんなもので大丈夫なのか? この前持ってた剣はどうしたんだ」
シュバはイオの装備を見て不安そうに話した。
「ああ、あれは売っちゃった。その金でこの帽子と靴を買ったんだ!」
イオは新品のおしゃれな麦わら帽子とブーツを自慢した!
「お前、そんな役に立たないもの買って、戦いはどうするんだ!」
シュバはかなり怒っていたが、怒りをなんとか抑えながら話した。
「大丈夫だよ! オレは魔物使いだぞ! 魔物が出たらすべてオレの従魔にするから戦う必要なんてないよ」
「それに、この帽子と靴は、これからのおれには最も必要なものだ」
「帽子は強い日差しからオレの肌を守ってくれる。 肌が荒れたらチコちゃんに嫌われちゃうからな! このブーツは防水仕様なんだ! どんな雨が降ってもへっちゃらだぞ!」
イオは自慢げに二人に話した。
「そうか・・・・」
シュバは怒りを通り越して呆れていた。
ハイキング気分で旅を楽しんでいた3人だったが、一気に状況が一変した。
「おい、呑気に話している場合じゃないぞ」
シンは二人に気合を入れた。
「おいおいなんでこんなやつが!」
シュバは剣を抜いて、警戒を強めた。
「ひゃあーーーーーーっ」
呑気に先頭を歩いていたイオは腰を抜かしてしまった。
そこにはサーベルタイガーがいた!
体長3メートルを超えるDランクの魔物である!