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冒険者登録

「出発だ――!」

「おおーーっ!」

「はぁーーーー」

 シュバ、シン、イオが3人冒険者ギルドに出発する朝が来た。昨日シュバの10歳の誕生日が来て、3人が揃って冒険者登録ができる日が来たからである。

 シュバとシンには待ちに待った日であり、とても張り切っていた。

 イオは相変わらずのグデグダ状態であった。


「シャキッとしろ!」

「バシッ!」

 シンはいつものようにイオの背中をたたいて気合を入れた!


「シン、強いよ! 加減ってものを知らないんだから! これだから脳筋はいやなんだ」

 イオは小さな声で呟いた。


「何だって、はっきり言えよー」

 シンは張り切っていた。10歳になったシンは身長も170cmで力もずいぶんついてきた気がしていた。


「あははは。イオは相変わらずだなー」

 シュバは軽やかに笑った。金持ちの余裕なのかシュバは10歳になって、少し振る舞いが貴族っぽくなり、優雅さも感じられるようになっていた。


「おおっ、ついたな!」

 3人は5年前に新設された冒険者ギルドにきた。


「結構混んでるなー」

 ギルドの入口には、まだ8時だというのに冒険者風の老若男女であふれかえっていた。

 3人はさっそく人込みをかき分けてギルドの中に入った。


「みんな、でかいな!」

 ほとんどの冒険者が身長180cm超えで、中には2m超えのものまでいる中で3人は上を見上げるしかなかった。

「とりあえず登録しないとな! 登録の窓口はどこだ?」

 シンはあたりを見回し、登録窓口を探した。


「あれじゃないか?」

 シュバが指をさした先には、20歳くらいのきれいなお姉さんが座っていた。


「ああ、あそこに違いないな!」

「きれいだなー」

 3人はウキウキしながら向かった。


「ぼくたち冒険者登録に来ました。よろしくお願いします。」

 イオはとても嬉しそうにきれいなお姉さんに話しかけた。


「あらあら、小さな冒険者さんの誕生ね!」

 お姉さんの声は天使のように透き通っていた。

 3人はお姉さんにすっかり心を奪われていた。


「ごめんねー、ここは冒険者登録の窓口じゃないの」

 お姉さんはそういうと立ち上がり3人を案内してくれた。

 デレデレした3人はミニスカートをはいたお姉さんの見えそうで見えないお尻を見ながら後についていった。

「ここよー、この子達、冒険者登録に来たの! 後よろしくね」

 お姉さんはそういうと元の席に戻っていった。


「ありがとうー」

「すきですー」

「結婚したいなー」

 3人はお姉さんを名残惜しそうに見送った。


「おう、お前ら冒険者になりたいのか!」

 ドスの利いた声に3人が振り返ると、2メートルを超えるクマのような体躯の大男が立っていた。


 第68話をお読みいただきありがとうございます。

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