新生ガリウス
「うむ、なかなか良い体だ! ノブめ、その力を使いこなしていなかったようだな」
ノブの体を奪ったガリウスは腕をぐるぐる動かしたりぴょんぴょん飛んでみたり、じっくりと新しい体を味わっていた。
「さて行くか!」
「んっ!」
ガリウスは壁にもたれながらぶるぶる震えているシンを発見した、
「おおっ、お前いたのか! わしは今とても気分がいい! お前ついてるな」
ガリウスはシンに手をかざした。瀕死の重傷だったシンの傷は完全に回復した。
「それではわしはいくが、お前はあまりに弱いな! もっと鍛えんと人間に勝てんぞ!」
「わははははははッ!」
ガリウスは高笑いしながら洞窟の外に向かって悠然と歩いて行った。
シンは震えながらも、先ほどまでと明らかに雰囲気が変わったノブの姿から目が離せなかった。
「ブルブルブル・・・・・・」
「あれはなんなんだ! さっきまでのあいつも強かったが、今のあれは別物だ・・・・」
「あれには決して近づいてはならない・・・・」
シンは前世も含めて初めて本当の恐怖というものを味わっていた!
ガリウスは洞窟の出口に近づくと、まだ漏らした場所で震えてるイオがいた。ガリウスはイオの横をさっそうと通り過ぎた。ガリウスにイオが見えていたかどうかわからないが、あまりにちっぽけな存在過ぎてイオは助かった。
洞窟の外に出たガリウスは目を閉じて集中した。やがてガリウスの足は地面にから離れ地上100メートルの高さまで舞い上がった。
「はあああああああああああああああああああああああああっ!!」
ガリウスの体から禍々しい闇があふれ出て、一気に広がった!
その闇はやがて世界全体に広がった!
「ははははは、人間どもよ、これで世界中に私の闇の力が広まった! 神のしもべである貴様たちは、われら魔族によって滅ぼされるのだ!」
そういうとガリウスの体は次の瞬間に消えてしまった。高位魔法により転移したようだ。
世界はガリウスの闇に覆われた。結界のある城や町は無事であったが、これまで安全だった森や草原にまで魔物があふれる世界へと変わってしまった。魔王の時代よりもはるかに人間が安全に暮らせる場所がなくなり世界中が突然の出来事に大混乱に陥った!
ガリウスが去って5時間ほどが過ぎた!
シンはやっと冷静に物事を考えることができるようになった。
「すまない・・・・」
シンは母も妹も助けることができなかったふがいない自分を責め続けていた。
「おれには、この世界にまだ二人の母がいる! ゴブリンの家族は助けることができなかったが、人間の家族は守らないとな!」
シンは強く心に誓った。
「あいつはオレのことを鬼人と呼んでいたな」
「あれっ?」
シンは自らの額から生えていた角がなくなっていることに気づいた。
「どういうことだ・・・・」
シンは戸惑いながらも角がなくなっていることに安心した。角が生えたままでは母のもと帰るに帰れないからだ。
「いくか!」
シンは立ち上がり洞窟の外に向かった。
途中シンはいまだに漏らしたまま震えてるイオを発見した。
「おい、しっかりしろ」
シンは優しく声をかけた
「ブルブルブル」
イオは硬直して固まっている。
「仕方ないな!
「バシ! ドカッ! ボカツ!」
シンはイオを激しく殴り、蹴りつけた!
「うわっ! 痛い!」
イオはやっと我に返った。
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