嘆き
「ば、馬鹿な! この醜いゴブリンがシャリーンだと・・・・・・」
ノブは認めたくなかった。
「おいおい、本当はさすがにわかってるんだろう。本当にシャリーンを愛していたというなら、その醜いゴブリンとかつて魔王だったシャリーンの気配は同じだろう」
今まで笑っていたガリウスは急に冷めた声でノブに言い放った。
「あっ、あっ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
転生したシャリーンを殺してしまったことを理解したノブは絶叫した!その声は洞窟のはるか先まで鳴り響いた。
「わはははははははは、まあさすがに、そんな醜いゴブリンのことは愛せないわな! お前の愛なんてものは、そんなものだ!」
ガリウスは再びうれしそうに語った。
「うっ、うっ、うううううううううううう!」
ノブは妹の首を抱きしめて子供のように泣いていた。
「そんなに、落ち込むことはないぞ! 今お前が殺したのだから、また転生するだろう。そうすればシャリーンに再び会えるだろうよ」
ガリウスはノブを励ますように話した。
ガリウスの言葉を聞いたノブは顔をあげて、シャリーンに再び会える希望で顔が少し明るくなった。
「まあ、コアが破壊されて魂がどんどん弱っているから、今度生まれ変わるとしたら、よくて虫くらいじゃないかのーーーー。いひひひひ!」
ガリウスはとっても嬉しそうだった。
「そ、そんなーーーっ」
再びノブはがっくりと肩を落とした。
「すまないシャリーン、オレの愛は決して薄っぺらいものではない。 かつて美しかった君が、まさかゴブリンになってるとは思わずこんなことを・・・・・許してくれ」
「・・・・・・・・」
ノブはしばらくゴブリンに生まれ変わったシャリーンの顔を見つめていた。
「シャリーン、君はきっとまた生まれ変わる! それが虫だろうと僕は君を探し当てる。そして君を愛しぬくよ! 虫の君のことも再び魔王にしてみせる!」
ノブはかつてシャリーンだったゴブリンの顔を見ながら固く誓った!
「おおっ! この状況でそこまで立ち直るとはすごいな! まさに大勇者といったところだな」
ガリウスは純粋に感心した。
「まあ、お前には無理だがな」
「イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒーーーーーーーーーッ」
ガリウスは両手に腰に当てて、高笑いした。
「お前にはわからないだろうが、オレの決心があれば不可能なことなど何もない!」
ノブは立ち上がりゴブリンの首を右手に抱き左手を天高く掲げた。
「はあーーーーーーーっ! 馬鹿! 馬鹿! ばあっーーーーかっ」
「わかってないのはお前だよ、人間!」
ガリウスの声はとてつもなく冷たかった。