表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/350

大勇者の力

「はぁ はぁ はぁ なんなんだ、あの男は、本当に人間か」

 シンは力いっぱい何度もこん棒で殴りつけていた。

「どんな人間でも普通死んでるだろー、オレはもう立てないぞ!」

 シンは、もはや立ち上がる体力もなくぐったりと壁にもたれかかっている。


「急に光がでて、鬼人になって面食らったが。それだけだったな!」

「オレは世間では大勇者と呼ばれている英雄ノブだ! 只の鬼人の攻撃くらいでやられるわけないだろー!」

 ノブはゆっくりと立ち上がり、シンに近づいてきた。手には大剣が握られている。


「大勇者だと? なんでそんな奴がこんなところに! ここはゴブリンしかいない辺境の洞窟だぞ!」

 シンは突然の大勇者に驚きながらも、この場を何とかいったん退避する方法を考えていた。

「そうだ! イオ! あいつは今どうしてる! きっと隠れてこの大勇者に不意打ちするつもりなんだ! その隙に二人でいったん退避するしかないな」

 シンは心の中で思いを巡らせていた。

 

 その時、イオはまだおしっこを漏らしたまま腰を抜かしていた。

 

「ゴブリンしかいない洞窟で、突然鬼人が出てきてびっくりしたが、それだけだ。そういえばシャリーンの気配がさっきから突然消えたな。ちょうどお前が現れたころだ!おまえがシャリーンを隠したのか。じっくりと吐かしてやる!」

 ノブはシンをいっそう強く睨みつけた。


「シャリーン? 何のことだ! オレはそんな奴は知らないぞ!」

 シンは怒りに加え激しい恐怖の感情の中、身に覚えのないことで、責められて困惑していた。


「どこの世界でも、犯人は知らないってとか、やってないっていうんだよな。安心しろすぐには殺さない、殺してくださいって頼むくらい拷問してやるよ!そうしたらシャリーンのことも話すだろう! ハハハハハ」

 ノブの目は血走っていた。もはや正常な判断ができているとは思えないほど狂気に満ちた表情で勇者の面影はなく、処刑人や拷問官のようにしか誰の目にも見えなかった。


「ごめんなさい! ごめんなさい 私じゃありません! 何も知らないです」

 シンは涙を流しながら、ノブに謝った。

「イオの出現のタイミングのためには、時間を稼がないと!」

 イオはまだおしっこを漏らしてガタガタ震えながら腰を抜かしていた。この時、シンも少し漏らしていたのだが・・・・


「まあいい、まずはその右腕から切り刻んでやる!」

 ノブは再び大剣を振り上げた。



「う、うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

 突然、ノブは苦しみもだえて、バタバタ床を転げまわった!


「久しいな、ノブ!」

 どこからか不気味な声が響き渡った。


 第59話をお読みいただきありがとうございます。


 面白い、応援したいと思われた方はブックマーク、評価をお願いします。


 評価は各話の広告の下にあります。


 作者の励みになりますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ