進化
シンに大剣が迫る!
「くそっ、オレはこんなところで死ぬのか! この世界の母親と妹を殺した男に復讐することもできずに!」
「くそっ! くそっ! くそっ! くそっ!」
シンは自分が死ぬことよりも、1年という短い時間ではあったが家族を殺した見知らぬ男に復讐できないことの方が悔しかった。
「ピカ――――――――――――――――っ!!!」
その時、シンの体がまばゆい光に包まれた!
「うわっ! まぶしい! 何が起きた!」
ノブは突然のまばゆい光に視界を奪われて瞬時に後方に下がった。その動きはさすがの歴戦の勇者であった。
やがて光は静かに消えていった。
「何が起きた! オレの体が何か変だ! 体中が熱い! さっきまでとは明らかに何かが違う。体中に力がみなぎっている」
シンは自らの変化に戸惑っていた。
ノブの視界は徐々に回復してきた。
「お、お前!その角は!」
シンの額からは20cmほどの2本の角が生えていた!
「鬼人か! このおれも見るのは初めてだぞ!」
シンは母親と妹を殺されたことによる激しい怒りが引き金になって、人間とゴブリンが融合し鬼人へと進化したのであった。
「つ、角が! お、オレの額から・・・・」
「力がどんどんわいてくる! こいつに復讐できる!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
シンは咆哮をあげた!
シンは、床に落ちたゴブリンのこん棒が目に入った。
そのこん棒を、拾い上げ、ノブに襲いかかった。
ノブは突然の目の前の出来事に呆然として、一瞬固まってしまった。
「がんっ! ガシッ! ドカッ!」
シンはノブを短時間の間にこん棒で数十発殴りつけた。
ノブはカメのように縮こまって、攻撃を受け続けた。
「死ね! 死ね! 死んでしまえ!」
シンは突然手に入った鬼人の力を存分に使い、ノブを殴り続けた。
「やった! これで母さんと妹と仲間たちを殺した殺人鬼に復讐できるぞ!」
「みんな! 見てるか! 間に合わなかったけどオレがこいつを倒してやるぞ!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ」
シンは再び咆哮をあげた!
「ふざけるな!」
突然ノブがシンを払いのけるとシンは壁まで飛ばされて激しく壁に激突した。
「ぐわっ!」
シンはノブが軽く払いのけただけで、全身ボロボロである。
「な、何故だ! なぜおまえは動けるんだ!」
「たかが鬼人の攻撃でオレがやられるわけないだろう」
ノブは全くの無傷であった!
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