違和感
「やったーーーー! ついたぞーーーーーーーーーーーーーーーー!」
シンは再び大声で叫んだ!
「これが、お前が言ってた洞窟か。しかしなんて不気味なところなんだ。まさか、こんなところ入らないだろ」
イオはあまりに不気味な雰囲気に完全に腰が引けていた。
シンは洞窟の入口を見つめながら改めて不安な気持ちが広がった来ていた。慣れ親しんだ洞窟ではあるが、今の自分は人間の姿である。このまま洞窟に入って行って母や妹に分かってもらえるんだろうか。
ミハエルなんかに見つかったら問答無用で襲ってくるかもしれない。
「行くしかない!」
シンは覚悟を決めた!イオのことを気にかけることもなく、洞窟の中にどんどん進んでいった。
「おいおい、まてよ! こんなところにおいてくなよーーーー」
イオは仕方なくシンについていった。
シンは洞窟の入口にきて、何か違和感を感じた。
「静かすぎる!」
この洞窟の中には無口なミハエルはともかく、多くのゴブリンが暮らしていた。いつも子供たちの声やおしゃべり好きのおばさんゴブリンの話声が響いていた。
「もう、この洞窟には誰もいないのか。どこかに移動してしまったのか?」
その可能性も十分にあった。この周辺の森は小さな木の実くらいしか取れない。木の皮のスープなど、いつまでも飲んでいたいはずがない。
さらに洞窟の中に進んでいった。10メートルほど進んでときシンの足が止まった!
「えっ!」
そこには壁1面に血だまりができていた。
「なんだよこれ!」
シンの背筋を冷たいものが流れた!
「ダダダダダッ」
シンは突然走り出した
「おいおい、待てよ! オレをおいていくなよーー」
イオは情けない声を出してシンの後を追った。
「どさっ!」
シンは何かにつまずいて大きく転がった。
「いててて! なんだこんなところに物を置くなんて、危ないじゃないか!」
シンは振り向いてつまずいた何かに目をやった
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああっ」
シンは驚愕してガタガタ震えが止まらなかった!
「おい、なんだか叫んでばっかりだな」
のんきにシンの後を追いかけてきたイオが震えているシンを見て、笑っていた。
「んっ?」
「わあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
イオはシンの10倍の大きな声で叫んだ!
そこにはきれいな断面ですっぱり切られていたミハエルの首から上が転がっていた。