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 シンとイオは10日ほど徒歩で移動した。

「ああ! 山だーーーー!」

 シンは見覚えのある山々を見て、涙を流した。

「やっと帰ってきたぞーーーー」


「おいおい、どうしたんだ。そんなに山を見るのが珍しいのか」

 イオは一人号泣しているシンを見てかなり引いてしまった。

「シン、泣いているとこ悪いんだが、この先はかなり険しい山々だ。気を引き締めてかないと。それとな、鼻水ふけよ」


 二人は険しい山道を登って行った。3000メートル級の山が連なっている山脈である。3歳児の体のシンにはかなりキツイ登山であった。

「はあ、はあ。あとどれくらい歩けばいい?」

 シンはイオに尋ねた。


「オレは、その洞窟に行ったことないから正確にはわからないが、このペースなら1週間かかるかもな。本来ならお前みたいな歳で来るとこじゃないぞ」

 イオは大粒の汗を流してゼイゼイ言ってるシンを見て、涙流したり、汗流したり忙しい奴だと思った。


「1週間か。そんなに時間をかけるわけにはいかないな」

 シンはひどい胸騒ぎがして、急がなければ何かが起きる気がしていた。

「イオ!オレがどんなに疲れているように見えても、どんどん進んでほしい。お願いだ」


「まあ、お前がそういうなら。お金をもらったオレとしてはそうするが」

 イオはシンの言葉に少し違和感があったが、とりあえず急ぐことには同意した。

「いったい、こんな3歳のクソガキがこんな山の中の洞窟に何の用事があるっていうんだ」




 二人がそんな会話をしてから5日たった。仮眠をとりながら、ほとんど休憩なしであるき続けた二人は満身創痍だった。

「おい、このままでは二人ともぶっ倒れちまう。オレはともかく、お前が死んじまうぞ!お前がなんて言おうと、休憩するぞ」

 イオは強い口調でシンに語りかけた。


「ぜい・・・・ぜい・・・・だめだ! 進み続けるんだ!」

 シンは満身創痍だった。本来ならもう1歩も歩けない状態である。しかし休むわけにはいかない。急がなければ!何かがシンを突き動かしていた。


「おいおい・・・・」

 イオは仕方なく、再び歩き出そうとした。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 シンは突然大声で叫んだ


「うおおおおおーーーー!」

 イオはシンの声にびっくりして、尻もちをついた。

「びっくりするだろう! なんなんだ」


 シンは大粒の涙をまた、流していた!涙で潤んで見えるその先に、あの懐かしい洞窟の入口が広がっていた!


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