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ご馳走

「よし、こんものでいいだろう」

 シンは2時間かけて、槍を完成させた。あたりはすっかり暗くなっている。

「とりあえず今夜の夕食を何とかしないと。村で買ったパンももうないな」

 シンは目の前に広が小さな森にゆっくりと入っていった。

「静かな森だな。何かいればいいんだが」

 

「ガサッ」

 その時、草むらの中で何か小さなものが動いた。シンはゆっくりと近づいてその草むらに完成したばかりの槍を突き刺した!


「ビヤァッ」

 あたりを獣の声が響いた。シンは思いがけず、獲物に槍が突き刺さって自分で自分にびっくりしていた。いわゆるまぐれというやつである。


「おお、やったぞーーっ」

 シンは森の中を飛び回って喜んだ。仕留めた獲物は一角兎である。80cm程の体躯に丸々太った兎のような獣、その額には50cm程の角が生えている。市場では高級食材として売られている。

「一角兎かーー! 食べたことはないが、憧れの食材だ! この世界に来てうまいものの代表格のようにきいていたからな!」

 シンは洞窟のことも一時忘れるくらいに、目の前の一角兎のことで頭がいっぱいになった。

「まずは血抜きからだな!」 

 シンは丁寧に血抜きの処理をした。

「この角も高く売れそうだな。 よし大事にとっておこう」

 シンは火を起こして、一角兎を丸焼きにした。

「そろそろいいかな!」

「んーーーーっ! うまい! なんだこれは!前世では散々豪華な料理を食べてきたが、ただ焼いただけの兎がこんなにうまいのか」

 シンは今後も積極的に一角兎を仕留めることを誓った!

 しかし、シンはわかっていなかった。今回の狩りはまぐれだということを!一角兎は存在自体も貴重だが、その敏捷さで仕留めるのが最も難しい獣の一つだった。シンはこの後、2度と一角兎を仕留めることはなかった・・・・。


 思わずうまくいった狩りでおなか一杯になったシンは森の中の大きな木の根元で一夜を明かした。

「おお。もう朝か! 昨日の兎はうまかったな! 今日の夜もまた食べたいな!」

 朝から夕食のことを考えているシンは昨夜の兎の骨を何度も舐めている。


「そろそろ出発するか!」

 シンは森を出て港町まで歩き出そうとしたとき、小さな馬車が通りを走っていた。

「すみません! 僕を乗せてくれませんか」

 シンは馬車の前に飛び出し、無邪気な子供のようにおねだりしてみた。


「なんだ きたねえガキだな! 金があるなら乗せて行ってやるよ」

 20歳くらいの少しガラの悪そうな男だった。


「お金ならあります。この先の港町までお願いします」

 シンが懐の中の麻袋を取り出そうとすると


「バカヤロー、冗談だ! ガキから金なんかとれるか! さっさと乗れ」

 男はそういうと自分の隣にシンを座らせた。


「お前ひとりで行くのか! ったく子供をあんなところまで一人でなんて・・・・」

 男はぶつぶつ独り言を言っている。見た目に反して案外いい人そうだ。

「オレの名前はイオ! 港から船に乗る予定だ! 今は仕事辞めちまってふらふらしてるが、そのうち大きなことやってやるんだ」

 男は港町につくまで、自分の夢を果てしなくシンに話し続けた。


 本日で連載50話を迎えました。今後も頑張ってまいりますので応援よろしくお願いします。

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