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麗華その後

「キャーッ、だれか来てー、新郎が!!」

 けたたましい声が、日本トップクラスのホテルの1室に流れた。

 周りがざわつき始めた、その時突然ドアが開いた。

「麗華! すぐに来て、健一さんが!」

 それは麗華のデビュー以来、10年来苦労を共にしてきた事務所の社長、田部真紀であった。

「なんなの? 騒がしいわね! 健ちゃんがどうかしたの?」

 麗華は結婚式前の少しの緊張の中、これからの人生について、思いにふけっていた時間を邪魔され、少しムッツとした表情で応えた。

「何のんきにしてるの! 健一さんが倒れたのよ!!」


「えっ!」


 麗華の頭の中は真っ白になった。次の瞬間には健一のいる控室に駆け出していた。

「ケンちゃん! けんちゃーん」

 麗華は人目もはばからず、倒れている健一を見て叫んだ。




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 麗華は若くして両親に先立たれ、将来に不安を抱いて自暴自棄になっていたころ、芸能事務所を立ち上げたばかりの田部真紀に出会った。

 ほどなくして、女優としてデビューした麗華であったが数年間は仕事もなく、アルバイトをしながらの生活であった。二十歳の時、ふいに受けたオーディションに合格し、初めて出演、主演した映画「恋愛教祖」が記録的大ヒットになり国民的女優と呼ばれるまでになった。

 

 健一と麗華が出会ったのは、そんなオーディションを受ける1年前、共にドン族であった二人は、いつか成功をつかみ取るという、共通の夢を持ち自然と惹かれあった。

 それから数年後二人は日本有数の実業家と大女優として結婚式の日を迎えた。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 

 陽だまりの中の縁側で、麗華はそんな健一との日々を思い返していた。


 大女優麗華は、87歳になっていた。健一が結婚式当日の日に亡くなって、麗華は悲しみに暮れつつも、仕事をこなしていた。そして日本の最高峰の主演女優賞を受賞。海外進出と。

 日本だけではなく世界中で麗華のことを知らない人はいないまでになった。


「色んな男と付き合ってはみたけど、私が本当に好きだったのは健ちゃんだけだったな」

 麗華は誰もいない縁側でひとり呟いた。

 健一が亡くなった後、麗華は、歌手、俳優、実業家、政治家と多くの有名人たちと浮名を流した。しかし誰一人麗華を満足させる男はいなかった。もちろん1度も結婚していない。


「健ちゃんに、もう1度会いたかったな。」

 麗華はそんなことをささやいた、そして麗華は静かに目を閉じた。


 享年87歳 大女優麗華は静かに逝った。

 

 麗華の頬には1しずくの涙がこぼれていたのであった。


 第4話をお読みいただきありがとうございます。

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