魚人
「どがっ、がしっ!」
「おい起きろ!」
ノブは何か固いもので殴りつけられ目を覚ました。
「痛い!なんなんだ!」
「おおーっ」
ノブは驚きの声を上げた!
そこには魚の顔をした魚人が数十人整然と通路の両脇に立ち並んでいた!
その最奥には上半身人間、下半身魚の女性がいた。人魚!
「ガシッ」
ノブはまた激しく殴られた
「失礼な奴め人魚姫様を呼び捨てとは!」
「人魚姫!」
ノブは人魚姫を凝視した!
「これが伝説の人魚姫か! その肉を食べれば永遠の命を得られるとか、その顔を見てしまったものは、心を奪われてしまう絶世の美女といわれている! 確かに美しい!」
ノブは心の声が漏れてしまっていた。
「ガシッ」
「ボコッ」
「グシャッ」
ノブは四方から激しく殴られた。
ノブの顔はすっかり減れ上がりタコのようになっていた。
「コホン!」
人魚姫が話を始めた。
「そなたがクラーケンを倒したかという地上人か!?」
人魚姫がノブに尋ねた。
「えっ、そうだけど」
ノブはぶっきらぼうに答えた。
「ドガシャン」
「グワシャン」
「ドギャン」
ノブは先ほどよりもさらに激しく全方位から殴りつけられた。
ノブの顔はさらに大きく膨れ上がった。
「そなたは口の利き方も知らんのか!」
「たかが人間風情がわらわと話ができるだけでも、名誉なことであるぞ」
人魚姫はピンと胸を張って自慢げだった!
「コホン、まあ海底でふわふわ浮いていたお前をそのまま捨て置いていてもよかったのだが。あのクラーケンを倒した英雄だと皆が言うのでな。特別に命を救ってやってのだ!」
「ありがたいと思え! まあ、あのクラーケンを海の中を暴れまわって、わらわも困っておったのでな」
人魚姫はさらに胸をぴんと沿った!
「クラーケンを倒した褒美にわらわの親衛隊がそなたを地上に連れて行ってやろうではないか!ははははは」
人魚姫はなぜか高笑いした。
人魚姫は絶世の美女でありながら、がっかり姫なのでした
「地上にはいかなくていい! オレを・・」
「グァシ」
「ガン! ドカッ」
「姫の好意を断るなど、貴様は何様だ!」
ノブはまたまた四方八方から激しく殴りつけられ、もはや誰だか見わけがつかない顔になっていた。
「いえ、そうではなく、私をガリウス島へ!」
ノブは何とか希望をつたえることができた。
「何っ!」
すべての魚人族の顔色が一斉に変わった!ように見えた!
・・・・ノブには魚の顔色の判別がつかなかった。