ラドクリスの求めるもの
北の山脈にあるラドクリスの城に1体のヴァンパイアデビルがやってきた。
「陛下、お久しぶりでございます」
彼女は片膝をついて恭しく頭を下げた。
「学園ではずいぶんな大立ち回りがあったようだな!」
ラドクリスは血のような赤い酒が入ったグラスを傾けながら不敵な笑みを浮かべている。
「おかげでハンターをあぶりだすことができました!」
女は自慢げに話した!
「ガシャッ」
ラドクリスは酒の入ったラスを女に投げつけた!
「ハンターなどどうでもよい! つけあがるな」
ラドクリスは表情を変えずに話している。
「申し訳ございません・・・・」
女は褒められると思っていて怒りを買ってしまい、戸惑いの表情が隠せない。
「ハンターよりも、そなたの学園に面白い魔法を使うものがいるそうだな!」
ラドクリスは女との話の本当の目的に触れた。
「光魔法でしょうか・・・・」
女は予想外のところに話がきて、どう返答していいか考えている。
「私のところに、その魔法を使うものを連れてまいれ!」
そういうとラドクリスは玉座を後にして、奥に下がってしまった。
残った女に側近の女性が話しかけた。
「お前が飼っている学生たちを使えばよい! 下がれ!」
「はっ!」
側近の女性もラドクリスの後を追って奥に消えた。
「陛下! あの女にできるでしょうか・・・・」
側近の女性は私室でくつろぐラドクリスに声を掛けた。
「奴が失敗すればそれまでの奴であったということだ!」
「大陸の東にはゴブリンが国を作ったと聞く! たかがゴブリンに大きな顔をさせておくわけにはいかん! 私はその光魔法の人間を取り込みさらなる高みに登らなければならない!」
ラドクリスはそういうと女を呼び寄せ口づけをかわした・・・・
☆☆ ☆ ☆ ☆
ラドクリスの城から学園に戻ってきた女は考えていた。なぜラドクリスはわざわざ呼びつけてまで、光魔法を使う人間を連れてくるように命令したのかを・・・・
「陛下がイシンを連れて来いというのはほぼ間違いなく喰らうためだろう! イシンを喰らうことはそれほど特別だということだ!」
彼女はヴァンパイアデビルの頂点であるラドクリスがそこまで求めている人間を自らが喰らえば、ラドクリスを超える力を得ることができるのではないかと考えた!
「ふっふふ、私にも運が向いてきたようだ!」
彼女は立ち上がって笑いを押し殺した。
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