事件
イシンとセリアがイースト魔法学校に入学して1カ月が過ぎた。
いま、このイースト魔法学校周辺では異様な緊張感に覆われていた! 学園内は警備巡回が強化され、1人での外出は禁止、寮の門限は18時だった。
「なんだか、最近物騒でいやだね・・・・」
セリアとイシンは授業を終え寮に向かって歩いていた。セリア達が入学した直後から数人の学生が何者かに襲われ命を落としているのだ。どの遺体も獣に食い散らかされたようにひどい状況であった。
「この辺りに魔物か何かがでるのかな・・・・」
イシンはセリアに答えながら疑問に思っていた。町の周りには結界が張られていて、魔物は街中に入ってくることができないはずだからだ。
「結界があるから魔物じゃないんじゃないかな! 殺人鬼とか!」
セリアは少しふざけているようだが、イシンはそれを聞いて震えていた。
「もうイシンたら! なに怖がっているのよ! 冗談に決まってるじゃない!」
セリアはイシンの背中をかなり強めに叩いて、大笑いしている。
2人はそんな会話をしながら、門限に遅れないようにそそくさと寮に向かった。
☆☆ ☆ ☆
一人の女学生が夜の学園街を歩いていた。彼女はイースト魔法学校の3回生であった。
「まだ21時だっていうのに、誰も歩いてないわね・・・・少し怖いかも」
彼女は最近付き合い始めた1つ年上の彼氏と公園デートを終えて自宅に帰るところであった。
「ガサガサッ」
茂みの中で何かが動いた気配がした!
「キャッ!」
彼女は思わず声をあげてしまった。
「何よ、びっくりしたじゃない・・・・」
茂みの中からは1匹の猫が飛び出してきた。
彼女は安心したがなんだか怖くなり小走りになった。
「ひとりかい?」
いきなり彼女に呼び掛ける声があった。
「きゃっ!」
彼女はまたも悲鳴を上げてしまったが、その声の主を見て安心した。
「あっ、すぐ帰るので大丈夫です・・・・」
彼女は丁寧に頭を下げた。
☆☆ ☆ ☆
「ちょっと聞いた!」
翌朝学園は大騒ぎであった。
一人の女子高生が無残な姿で発見されたからである。昨日の女学生であった。
彼女は腕や足が引きちぎられていただけでなく、全身の血が抜かれ、心臓もなくなっていた。
「これってヴァンパイアの仕業?」
「だけど、ヴァンパイアだったら肉食べたり、心臓がなくなったりするのはおかしいわよ・・・・」
学園内は憶測とうわさが飛び交っている。
「そういえば、あいつ怪しくない!」
イシンとセリアと同じクラスの一人の男子学生に注目が集まっていくのであった。
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