お披露目翌日
イシンが闘技場に大穴をあけた日の翌日、イシンとセリアはいつものように登校して教室で担任のモアナがやってくのを待っていた。
「ガラガラ」
教室の扉が開いて、学生たちがモアナだと思っていると入ってきたのはメガネをかけた事務員風の女性だった。
「イシンという学生はいますか?」
彼女は教室を見渡してイシンを探しているようだ!
「はい、僕です!」
イシンは突然のことでドキドキしながら手をあげた。
「ワシャハ学園長がお呼びです! すぐに学園長室に来るように! 他の生徒は自習です!」
事務員風の女性はそういうと教室を出ていった。
「イシン、きっと昨日の件よ!」
セリアが心配そうに声を掛けてきた。
「闘技場壊したから弁償しろってことじゃないか!」
「いや、結界を壊したからだろ!」
「退学じゃないか!」
教室のあちこちから無責任な声が上がった。
確かに闘技場の穴を埋めるには金貨3万枚、日本円にすると約3億円がかかる。さらにイシンが壊した結界をさらにかけなおすとなるとさらに数万枚の金貨が必要になる!
とても平民のイシンに払える額ではない・・・・
「イシン、パパに頼めば少しくらいは出してくれると思うわ! 私も少しは貯金があるし
・・・・」
蒼白となっているイシンに涙目のセリアが語り掛けてきた。
イシンはゆっくりと立ち上がった。
「セリア、今までありがとう・・・・ここには多分帰ってこれないけど楽しかったよ・・・・」
イシンはゆっくりと教室を出ていった。
「元気でな!」
「また、いつか会おうな!」
「逃げた方がいいぞー」
イシンの背中越しに教室に残された学生から声がかかった。
生きる気力も失いそうなイシンは重い足取りで学園長室に向かった。
「コンコン」
イシンは学園長室の扉をノックした。
「イシンです・・・・」
「はいりなさい」
中から声がかかってイシンは扉を開けた。
部屋の中にはワシャハ学園長が中央に、担任のモアナがソファに腰かけている。
他に見知らぬ白髪の老人がモアナの隣に座り、その後ろに20代に見える女性がたっていた。
「終わったな・・・・」
イシンは心の中で呟いた!
「申し訳ありませんでした。すぐには無理ですが、何年かかっても弁償するので退学だけは勘弁してください」
イシンは声がかかる前に土下座をして、昨日の事を誤った。
学園長室にいた面々は突然のイシンの行動に目を丸くした。
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