お披露目4
翌日、イシンとセリアは再び教室にいた。昨日の一件で教室の中には包帯を巻いた生徒たちであふれていた。
張本人である長身の学生は全く気にするそぶりを見せずに平然と座っている。
「皆、昨日は大変だったが、ちゃんと登校してきたのは立派だ!」
いきなり勢いよく教室に入ってきたモアナも頭に包帯を巻いていた。
「さて、今日は昨日行えなかった最後の1人のお披露目だ!」
学生たちはモアナに続いて魔法闘技場に向かった。
「さて、あとは君だけだ! 昨日の最後のようなことは勘弁だよ」
モアナは半笑いでイシンに話した。
「大丈夫ですよ!」
イシンはモアナに満面の笑みで答えた。
「でははじめ!」
モアナの元気のいい掛け声でイシンは標的に向かった。
イシンが集中すると全身を光が包み込んだ!
「えっ、なんで?」
モアナは昨日の青白い炎以上に驚いた表情をした。
「ちょ、ちょっと・・・・ま、まって・・・・」
モアナは不安に襲われてイシンに声を掛けたが遅かった。
イシンが右手を前に突き出すと、全身を包んでいた炎は光速で標的に放たれた!
「ピカ――――――――――――――ッ!」
闘技場全体がまばゆい光に包まれた!
闘技場にいたモアナや学生たちは突然の光に視力を奪われてしばらく目を開けることができなかった!
数分してセリアはゆっくりと目を開けた。
「ええええええええええええええええええつ!」
セリアは大声をあげた!
「えええええええええええええええええええっ!」
セリア以外の生徒たちも続いて声をあげた。誰もがその光景に唖然とした。
標的は跡形もなくなったいたが、標的の先の壁には直径3メートルほどの大穴が開いていた。その穴の先は全く見えない・・・・
闘技場の壁に空いた穴は10キロ以上も続いていた。
闘技場の壁には上級魔導士が何十にもかけた結界が存在していたが、イシンの魔法はそれを歯牙にもかけなかったのだ!
「・・・・」
モアナは穴の前に進んで、延々と続く穴を覗き込んで声を失った!
「あ、あなたは、いったい・・・・」
モアナはイシンの方を向き直って話しかけた。
「す、すみません!」
イシンは深々にモアナに頭を下げた!
「結界があると聞いていたので大丈夫だと思ったんですが、闘技場を破壊してしまいました!」
穴だけなく、闘技場にかけられた結界は完全に破壊されていた。
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