同室
「じゃあ、これが2人の部屋の鍵ね!」
アルフレッドさんは寮母さんだった。二人は簡単な寮の説明を受けて、それぞれの部屋の鍵をもらった。
「じゃあ、イシン! また明日の入学式でね!」
セリアはイシンに手を振って自分の部屋に向かった。寮は基本的に2人1部屋で、部屋の中にはベッドと勉強のための机といすが人数分置いてあった。
「まあ、こんなもんでしょう!」
セリアは部屋の中を簡単に見渡して、荷物を放り投げベッドにダイブした!
「コンコン」
誰かが部屋の扉をノックした。
「ルームメイトかしら!」
部屋にはまだ、誰の荷物も置かれていなかった。セリアはルームメイトがやってきたと思い扉を開けた。
「えっ?」
扉の外には先ほどまで一緒だったイシンがたっていた。
「どうしたの? 何か私に用事?」
セリアは顔をしかめてイシンに問いかけた。
「い、いや・・・・ここ、僕の部屋なんだけど・・・・」
イシンは部屋の鍵を見せながら、呟いた。
「えええええええっ!」
セリアは大きな声をあげて、尻もちをついた。
2人は慌てて、寮母のアルフレッドのところに向かった。
「どういうことですか! 男女が同室なんて!」
セリアはアルフレッドにまくしたてた。
「ごめんなさいね・・・・どうやら手違いだったみたいね・・・・」
アルフレッドはしばらく宙を見て考えていた。
「今、ちょうど入学時期で他に部屋が空いてないのよ! 2人はまだ、小さいから同じ部屋でも大丈夫でしょ!」
アルフレッドは満面の笑みで微笑んだ!
「何言ってるんですか! 私まだ嫁入り前なんですよ! 男と同室なんてありえない!」
セリアはアルフレッドの言葉に顔を真っ赤にして憤慨している。
「まあまあ、イシン君だっけ! とってもきれいな顔してまるで女の子みたいじゃない」
確かにセリアは顔立ちが綺麗で美少年であった。
アルフレッドはぷんぷんしているセリアの背中を押して、部屋に押し込めた。
「新しい部屋が空いたら、すぐに案内するから、それまではここで2人で仲良くしてね!」
アルフレッドはそういうと逃げるように去っていった。
セリアは呆然とその後ろ姿を眺めていた。
「まあ、セリア! アルフレッドさんもああいっているし、しばらくの辛抱だよ!」
イシンはなだめるようにセリアに声を掛けた。
「はああああああああああっ!」
イシンはそれから2時間にわたるセリアの説教を聞くことになったのだった。
やがて話疲れたセリアはベッドに再びダイブした。
「はああ、とりあえずは我慢するわ・・・・!」
「私に指1本でも触れたら殺すから!」
セリアはそういうと、そのままベッドで眠ってしまった。
イシンは大人しくなったセリアを確かめた後、荷物の整理を始めたのであった。
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