魔法学校到着
イシンとセリアは乗合馬車の乗り場から、やっと馬車に乗り込むことができた。
2人は初めての馬車に少し興奮気味に港町からの景色を眺めていると、やがてイースト魔法学校の大きな門をくぐった。
「イシン、ちょっと門を通ってからずいぶん経つけど、この道で正しいのかな?」
セリアはイースト魔法学校という大きな看板の門を通過して15分は経過しているはずなのに、いっこうに学校らしき建物が見当たらないことが不安だった。馬車が通る1本道の両側には大きなモミジの木が立ち並んでいた。
「あっ!」
その時イシンは大きな5階建ての建物が目に入って思わず叫んだ!
「ここはイースト魔法学校正門前だよ!」
馬車の行者の男が到着を告げた。セリア達が門だと思っていたのはイースト魔法学校の広大な敷地に入る大手門であった。
敷地全体の中にはいくつかの校舎の他に、訓練場、農場、牧場、運動場、寮等、サッカーグランド100個分ほどの広さがあった。
そのため、学校内部を移動するシャトル馬車なるものまで存在しているのだ。
イシンとセリアは早速馬車を降りて、正門前の守衛に声を掛けた。
「私たち、この学校に入学するために来たんですが・・・・」
「寮なら、あっちの方角だよ!」
守衛の男はぶっきらぼうに指をさした。
2人は男の示し方角に歩いていった。10分歩いたが、寮らしき建物は現れなかった。
「あの守衛の男、いい加減なこと教えたんじゃないでしょうね!」
セリアはイシンに不満をぶつけた!
「あの寮はどのあたりですか?」
機嫌の悪いセリアに変わってイシンが学生らしき集団に声を掛けた。
「ああ、君たち新入生かい!」
「キャーかわいい!」
学生たちは、2人を見て、何やら盛り上がっていたが、その態度にセリアが苛立った。
「ちょっと、道を聞いてるんだけど!」
業を煮やしてセリアが学生たちにつっこんだ!
「ああ、ごめんよ! 君たちを見てるとなんだか数年前の自分たちを見ているようで、とてもかわいく思えてね!」
学生たちのリーダーらしき男が、集団から離れてセリア達を案内してくれるようだ。
2人は学生の後をついてさらに5分ほど会歩いたところで、3階建ての伝統的な建物があった。
「この寮は学校ができた当初からあるんだよ!」
学生自身も、どうやらこの寮に住んでいるようだった。
学生はどんどん建物の中に入っていった。
「アルフレッドさん、2人の新入生を案内してきたよ!」
学生は40代の1人の女性に声を掛けた。
「あら、かわいらしい新入生ね!」
アルフレッドという女性はイシンとセリアを抱きしめて、強めの頬ずりをした!
「じゃあ、僕はここで」
学生はさわやかに手を振って去っていった。
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