ヴァンパイアデビル
マウント国軍本部を飛び去り北に向かった騎士長は、3000メートル級の山々が立ち並ぶ山脈の上を飛んでいた。
「ふっ、やってきたか!」
山脈の中でもひときわ高い山の頂上に立つ城で一人の男が騎士長の気配を感じ笑みを浮かべた。
「バサバサバサ」
騎士長は城の最上階に設置された巨大なテラスに降り立った!
騎士長はそのまま部屋の中に進んだ!
その部屋は天井高が50メートルを超え、サッカーグランドがそのまま入るのであろう巨大な広さである。
床には赤じゅうたんが敷き詰められ最奥には数段あがったところに騎士長に力を与えた男が玉座のような椅子に腰かけている。
さらに男の隣には長身でありえないほどの美貌の女性がドレスを着て控えている。
「約束が違います!」
騎士長は男にいきなりクレームを放った。
「何のことでしょう!」
男は笑みを浮かべて騎士長に答えた。
「あなたは私を助けてくれるといわれました」
騎士長は懇願するような表情だ。
「そうしたつもりですが! 現にあなたは、騎士に囲まれてもこうして無事に私のもとにやってきたではありませんか!」
男は隣の女性と見つめ合いながら騎士長の相手をしていた。
「そ、それは・・・・」
騎士長は少し納得したようだ!
「あなたを追い出した人間が憎いですか? では復讐しなさい! 私のところにいれば、それはかないます!」
男の名前はラドクリス、悪魔の力を持つ吸血鬼、ヴァンパイアデビルの始祖である!
ラドクリスの隣にいた女性が騎士長のもとに進んだ。
「彼女がこれからのあなたの歩むべき道を示してくれるでしょう!」
騎士長は自分自身で気づいてはいなかったが、涙があふれて止まらなかった。彼は地面に頭をこすりつけてラドクリスへの忠誠を誓った。
ヴァンパイアデビルとヴァンパイアの大きな違いは、ヴァンパイアが人間の血を飲むのに対してヴァンパイアデビルは自らの血を人間に与えることである。
そしてどちらもその相手をヴァンパイアやヴァンパイアデビルに変化させて眷属にすることができる。
さらにヴァンパイアデビルは固有の魔法を使用することができ、その力は通常のヴァンパイアを大きく上回る。
これまで歴史上ヴァンパイアデビルが生まれたことはなく、人類が遭遇する新たな厄災であった。
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今回から第4章スタートです。