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デンキンのお見合い

 デンキンのお見合いの日がやってきた。大使館の中は飾りつけや通常と違う警備体制などで朝からバタバタとしている。

 当のデンキン自身も相手がゴブリンではあったが、なんだかそわそわしているようだった。

 デンキンはいつものお見合いの日と同じようにタキシードに身を包んでいた。この世界のお見合いで皆がタキシードを着るわけではなく、あくまでデンキンのお見合いでの服装がタキシードということである。


「大使! そろそろお見えになると思います!」

 案内役の大使館員がデンキンの部屋に入ってきた。


「そ、そ・・・・か・・・・」

 デンキンは緊張でカチコチであった。デンキンはわかっていないがこれまでの99回のお見合いにデンキンが失敗してきたのは何もその容姿のためではなかった。彼はお見合いになると極度の緊張でまともに会話することができなくなるのであった。

 今日のデンキンも例にもれずいつもと同じ、いやそれ以上に緊張していた。


 お見合い相手のゴブリンヒューマンはマグマグに付き添われて大使館にやってきた。彼女は、不幸な生い立ちで人とゴブリンのハーフとして生まれてきたわけではなく、ゴブリンの父と人間の母が愛しあい生まれてきて、両親に愛されて育ったのであった。

 彼女の父はすでに寿命を全うしてなくなっていたが、母は人族であるがゴブリン城内で彼女とともに暮らしている。


「ようこそ、おいでくださいましたマグマグ様!」

 案内役の女性が扉を開けてマグマグ達を迎えた。


「ありがとうございます。ただ、今日は私が主役ではありませんので・・・・」

 マグマグは付添人としてしっかりと役割をこなしている。


「こちらにどうぞ」

 マグマグとゴブリンヒューマンの女性は案内役の誘導でお見合い場所の部屋に入った。

 中にはすでに緊張で凝り固まったデンキンが席についていた。


「ガタッ」

「ガシャンッ」

「ボカッ」

 マグマグたちが入ってきてあいさつのために立ち上がったデンキンは体が頃固まっていたためうまく立つことができず、テーブルや椅子に体をぶつけてテーブルの上の飲みものをこぼし、飾ってあった花瓶を割ってしまった。


「よ、よーこ、そ・・・・」

 花瓶を割ってしまったことにさらに慌てたデンキンは、とりあえず挨拶だけでもとそのままの体勢で片言であいさつした。


「大使・・・・よろしくお願いします・・・・」

 権謀術数に長けたマグマグも目の前の光景に目を丸くした。


 大使館の職員が慌てて場をセッチングしなおした。改めてマグマグがゴブリンヒューマンの女性を紹介した。

「彼女の名前はヨーコです! ヨーコ、こちらが大使のデンキン殿だ!」

 ゴブリンヒューマンの女性は肌の色こそ緑色だったが、女優かモデルといってもだれも疑わないほどの美貌の持ち主であった。


「ヨーコです! よろしくお願いたします」

 彼女はおしとやかな雰囲気で頭を下げてデンキンに挨拶した。


 ヨーコを見たデンキンの緊張はさらにひどくなってしまった・・・・


 いつもお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字報告もありがとうございます。


 間もなく3章が終了しますが、しばらくは1日1更新となります。

 今後ともよろしくお願いします。

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