表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
308/350

大混乱

「大変だ! 牢番が何者かに殺されているぞ!」

 物音を聞いて駆けつけてきた騎士たちは血まみれの牢をみて驚愕した。たちまち、本部は大騒ぎになった。

 

「こっちはまだ息があるぞ!」

 ハジメは生きていた! ハジメはすぐさま医療所に運ばれて治療を受けた。意識は戻らなかったが、一命をとりとめた。


「一体どういうことだ! 何故ゴブリン共の侵入を許したのだ!」

 ハジメが刺されてことにより、本部の見解はゴブリンが密通者のハジメを殺すために刺客を送ったのだと判断された。


「申し訳ありません、奴らがどこから侵入したのか皆目見当がつきません・・・・」

 警備責任者の騎士はゴブリンが外部から侵入してくれば、その姿かたちからすぐにばれるため、どういうルートで侵入したのか全く分からなかった。


「外部から出ないとすれば、内部だとでもいうのか!」

 セロは最悪の想像をしていた! ハジメについてはほぼ内通者として確定で問題ない。しかし、他に本部の中にゴブリンはいなかった。人族の中にゴブリンと繋がっているものがいるとは考えたくなかった。


「引き続き、調査を行うとともに警備体制を強化せよ!」

 セロは憤慨していた! せっかく戦争を収めてひと時の平和が訪れたと判断していた矢先、ゴブリンの裏切りが判明し再び戦争が始まる可能性が高かったからだ。


「ラオ、大丈夫か・・・・?」

 セロの隣にいたラオはいつもと違い、この非常事態にもかかわらず、一言も発さず椅子に腰かけていた。

 というのも殺された騎士は、ラオの妹の一人息子であった。長年子供ができずにやっとできた子供であった。ラオ自身にも子供がいなかったため、軍に迎え入れ、わが子の様に接していた。将来はラオの後を継がせて、マウント国の軍師にするための英才教育を始めようと思っていた矢先であった。


「・・・・」

 セロが声を掛けてもラオはそれに返す言葉を出す気力もないようだ。


「刺客はまだこの本部の中にいるはずだ! 必ず捕らえよ! 私自ら八つ裂きにしてくれる!」

 セロはラオの顔が見ていられなかった。何度かラオの甥ということで一緒に食事を共にしたことがあり、セロの目から見てもゴトンにひけをとらない好青年であった。


「どうして、いいやつばかりが命を落とすのだ・・・・!」

 セロの怒りはゴブリン国の全ゴブリンに向けられていた。もはやセロはゴブリンを根絶やしにする決心をしていた。

「やはりゴブリンは所詮魔物だ! 魔物と同盟を組もうとした私の甘さが若者たちの命を散らしたのだ・・・・すまない!」

 セロは歯を食いしばり、歯ぐきからは血がにじんでいる。



 ハジメが刺されたと聞いてニッカとシュバは医療所に来ていた。

「お願いです! ハジメに合わせてください!」

 2人は医療所の入口まで来ていたが、中には入れてもらえなかった。


「だめだ! やつは大罪人だ! あわせることなどできるはずがないではないか!」

 医療所の前には屈強な兵士が何人もハジメが逃げ出さないように配備されていた。



 いつもお読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ