ラオ対マグマグ
ニッカ達の報告をうけてラオはゴブリン王のもとに向かった。協定違反を追及するためだ!
「カチン将軍、いや今はカチン王か・・・・これはどういうことだ!」
「事と次第によっては、再び戦争ということになりますぞ!」
ラオは強い口調でカチンに迫った。
「ラオ殿、今回の事は不幸な事故としか言いようがありません」
ラオに答えたのはカチンの横にいたマグマグだった。
「事故だと! 我が国の上級騎士が貴様たちの部下に殺されたのだぞ!」
ラオは事故だというマグマグの言葉に憤慨した。
「おちついてください! 事故だといったのは我々が今回のことについて把握していないからです。 我が国と帰国の同盟について快く思っていないゴブリンの村も少なからずあります!」
マグマグはラオに飲み物を進めて話を続けた。
「今回の村もおそらく、その類でしょう・・・・その亡くなった騎士殿には大変申し訳ないと思いますが、これも同盟開始の初期の弊害だと思ってください」
「なんだと、ふざけるな!」
普段冷静なラオだが、マグマグのあまりに事務的な態度にラオは声を荒げた。
「だから落ち着いてくださいよ! ラオ軍師・・・・あなたが、そんなに熱くなってしまうと話し合いが進まないではありませんか!」
マグマグはラオがいくら怒っていても、気にせずに話をした。
「その村のことはこちらに任せていただければ、厳重な処分をさせていただきます」
「いや、殺されたのは我が国の騎士だ! 我が国としてきちんと対処したい」
ラオは少し落ち着いて話を始めた。
「ラオ殿、その村は我が国に存在します。今やゴブリン国とマウント国はそれぞれ主権を認めた独立国家同士です! 我が国で貴国の兵が暴れまわる等、許されるはずがないではありませんか!」
マグマグは正論をラオにぶつけた。
「もちろん、今回の首謀者の首はそちらに届けます。 さらに賠償もきっちりとさせていただきます」
マグマグは国としての対応をきっちりと示した。
「そうではあるが・・・・」
ラオはここまで言われると何も言い返せなかった。
「そんなことよりも、聞きたいことがあります!」
マグマグは、何事もなかったように話を変えた。
「そんなこととはなんだ!」
ラオは再び怒りがわいてきた。
「前王ミトのことです!」
マグマグはラオの予想もしなかったことを言い出した。
「ミト王だと・・・・」
ラオは困惑した表情を浮かべている。
「はい! 今回殺された騎士殿が隊長を務める小隊がミトを発見したという話です」
ラオは寝耳に水だった。
「おや、ご存じないようですね! しかし、マウント国が、前王の所在を掴んでおきながら隠し立てするとなると、それこそ協定違反になりますよ!」
マグマグはラオを睨みつけた。
「そ、その話は今初めて聞いたところです・・・・おそらく今回の一件で報告が遅れていると思う・・・・確認してそちらに情報をお教えする・・・・」
ラオは突然のことで戸惑いながらも、何とか返答をした。
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