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テオ

 伯爵家の屋敷に来てから、1カ月ほどが経った。

 テオは相変わらず赤ん坊でうまくは動けないが、立ち代わり入ってくる母親や使用人たちの会話でゴブリンの赤ん坊だったころに比べればはるかに情報収集ができていた。

 いつもおっぱいをくれる乳母のダコタは39歳。テオと同じ日に生まれた男の子の母親だ。

 子どもができなかったダコタに待望の男の子が生まれたわけである。テオの母親はおっぱいの出が悪いらしく、ダコタに白羽の矢が刺さったわけだ。

 ダコタの希望でテオの部屋でダコタの子シンと一緒に隣のベッドでテオは毎日過ごしている。

 テオが屋敷に帰ってきた場所に忍び込んだドンテルらしいリスは常にテオの傍らにいた。いつの間にか、テオのペットとして認められたようだ。テオは赤ん坊であるため、まだ話すことはできないが、人が話している内容は理解できる。しかし、ドンテルは屋敷にやってきて来て以来、一言もテオに話しかけてこない。

 テオはもしかしたらこのリスはドンテルではなくただのリスなのではないか、もしくは人、いや吸血鬼になってしまった自分にはドンテルと話しすることができなくなってしまったかと心配になっていた。

 母親と父親が話していたのをきいて、わかったことだがテオが生まれてすぐ、この国の教会から、テオが吸血鬼だと因縁をつけられているらしい。実際吸血鬼なのだが、両親は普通の人間だと信じているみたいだ。

 それ以来、教会からテオへの暗殺者を送られたり、いやがらせをされたりと大変であるらしい。

 先日おこなわれた魔王を倒した勇者を祝う祭典に参加した父親は自国の王に教会との仲裁を頼んだらしいが、それ以降も状況は変わっていないみたいだ。

 どうやら、オレはこの国の教会から人類の敵認定されているみたいだ。せっかくゴブリンから苦労して人間ではなかったが、吸血鬼になったのに、命を狙われていつ殺されてもおかしくない、「ひやぁぁぁ!」

 これも父親の話を聞いてわかったことだが、吸血鬼というのは魔族ではなくあくまで人間という話だ。  ただ、その能力、特質のために忌み嫌われる存在であり、これまでの人類の歴史の中で何人かの吸血鬼が歴史上現れたが、その度に討伐されてきたということである。

 魔王があらわれるよりも、はるか昔吸血鬼により人類は絶滅の危機に陥ったという、それ以来吸血鬼があらわれれば、討伐の対象であり、ある意味魔王級の厄災である。

「おれ大丈夫か?」テオは日々きかされる自分の置かれている状況でドキドキした毎日を過ごしていた。

 ダコタの独り言で知ったこともある、どうやら誰しも自分のレベルなど簡単な情報は生まれてすぐ確認することができるようだ。細かなステイタスのようなものは特殊な鑑定スキルを持った人に見てもらえばわかることもあるとのこと。

 オレが吸血鬼だといわれているのは、教会に信託がくだったとのことで、オレが鑑定を受けたわけではないみたいだ。だからこそ両親はオレが吸血鬼だと信じてはいないみたいだ。

 教会からは鑑定を受けるようにも言われてるみたいだが、鑑定を受けることにより確定してしまうことも怖いみたいで、オレの鑑定はされる予定はないみたいである。

 日々話を聞いてひたすら頭の中で考えドキドキして、たまにおっぱいを飲む日々をテオは過ごしていた。


 そんなある日・・・・

「ドカッ」

「バカッ」

 大きな音があちこちでする。


「なんだろう?」

 テオの部屋には今テオとシンしかいないため、状況がわからない。」

「煙のにおいがする、火事なのか! 誰か助けにこい!」

 テオは助けを心の中で呼んでいた。


 その時扉があいて、数人の男が入ってきた!

「おっ、助けか!」

 テオは一瞬ほっとした。


「んっ????」

 男たちの手には斧や剣が握られている。その刃先には、血がべっとりとついていた

「助けじゃない!」


「見つけた!」

「ここにいるぞ!」


「やばい!」

 テオは心の中で叫んだ!

  

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