ゴブリンになったオレ
衝撃の井戸事件から、1カ月がたったころ、オレは1人井戸の水をくんでいた。
今では1カ月過ごした部屋と、この広場、それにこの広場から通路を100メートルほど歩いた食堂部屋を自由に行き来している。
いつのまにか、話もできるようになったオレは、やっと自分の置かれた状況を理解できるようになった。
オレはゴブリンとして転生したようだ。
この1ケ月の間に見聞きした情報によると、
ゴブリンは生まれて1カ月で歩くことができるようになり、同じころ言葉も理解できるらしい。
1年もたつと大人と認められ結婚もできるとのこと。
寿命は10年ほどで、妊娠して1カ月で出産するらしい。
オレは母親の最初の子供で妹がいる。父親は妹がうまれてすぐになくなってしまったと聞いている。
「あら、水汲み偉いわね」
オレに声をかけてきたのは1カ月前に声をかけてきた、あの美しい緑の女性「ナンシー」さんだ。
ナンシーさんもゴブリンとのことだが、おれの家族とは違いとても目鼻立ちが整った美しい女性だ。
ちなみに俺の妹はオレや母親にそっくりだ。
ゴブリンと一口に言っても、いろいろな種類がいるそうだ。
ナンシーさんは、ゴブリンヒューマンという種族で見た目は人間と変わりない背も高く最も容姿にすぐれたゴブリンだ。今更だがナンシーさんの子どもに生まれたかった。
ゴブリンの種類は
ゴブリンキング
ゴブリンジェネラル
ゴブリンナイト
ゴブリンヒューマン
ゴブリングリード等数多くあるようだ。
オレはゴブリングリードという種族で通称ゴブリンと呼ばれるよくあるゴブリンである。
食欲、性欲が強く、見た目も最も醜く獣に近いゴブリンである。寿命は10年である。
ナンシーさんのような、ゴブリンヒューマンは肌の色が緑という点を除けば、ほぼ人間と変わらないが、寿命は10年と短い。
ゴブリンキングともなれば、寿命は200年を超え、その力は普通の人間が10人かかってもかなわないそうだ。ちなみに俺はゴブリングリード(今後はゴブリンとする)とゴブリンヒューマンしか見たことがない。
ゴブリンが住んでいるのは、大きな洞窟や、深い森の中で、オレたちが住んでいるのは大きな洞窟である。総数は50人ほどということだ。まだオレは外に出たことはない、オレの世界はこの広場と食堂と寝床である薄暗い部屋のみである。
ナンシーさんは生まれて1年の成人であるが、まだ独身だ。オレはひそかに憧れている。
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