ニッカ絶叫
「とにかく、ここからではわからない! 村へ潜入するしかないな」
シュバがニッカに伝えた。
「ああ、あの冒険者達の様に囚われていることも考えられる!」
ニッカはイオとハジメを丘に残してシュバとコンと3人で村に向かうことにした。
「いいか、ここから見ていて、何かあったらお前たちは助けに来るな! 本部に戻って状況を伝えに行ってくれ!」
ニッカはイオとハジメの目を見て真剣に話している。
「わかったよ! 気をつけろよ!」
イオは相変わらずイオだった。
ニッカ達3名は松明も持たずに暗闇の中を慎重に村に向かった。
ニッカ達は門の近くの茂みに入った。
「さすがにこんなに真っ暗じゃ何も見えないな・・・・」
門の前では数体のゴブリンの気配がしていた。
その時、雲の間から月が顔を出して門の前を明るく照らした。
「あっあああああああああああああああああああああああああっ!」
ニッカは大きな声で叫び声をあげてしまった。
「・・・・・・・・」
シュバは声も出さずに硬直した。
「キン キン キン」
コンはニッカが叫んだことにより、襲ってきた門前のゴブリンの相手をしていた。
戦うコンの目からは涙が流れている!
「お前達! しっかりしろ! 隊長を連れて帰るぞ!」
物静かなコンが大きな声で呆けているニッカとシュバを叱り飛ばした!
「わああああああああっ!」
コンの声に反応してニッカとシュバは剣を抜いて飛び出した。
月明かりが照らし出したのは、門前に刺された杭に突き刺されたゴトン隊長の首だった!
3人は門前のゴブリンをすべて倒して、杭からゴトン隊長の首を引き抜いた。
「わああああああああああああああああああああああああああああっ」
ニッカはゴトンの首を抱きしめ再び絶叫をあげた。
「ニッカ!」
コンは再びニッカを叱咤した。
「ゴブリンたちがやってくる! すぐに逃げるぞ! ゴトン隊長の死を無駄にするな!」
コンの言葉にニッカとシュバも立ち上がり、走り出した!
にっかの腕の中にはゴトンの首が抱きしめられている。
門前の騒ぎを聞きつけ、ゴブリンたちが騒ぎ出したが、ニッカ達は闇に紛れてゴブリンたちの逃走を振り切った。
丘の上で村の様子を見ていたイオとハジメも異変を感じ取り、急いで丘を降りて本部を目指した。
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