隊長救出
「隊長を救出に行こう!」
ニッカは力強く提案した。
「一言で救出というが、ゴトン殿がまだあの村にいるかどうかわからんだろう」
ユークレオがいぶかしげに答えた。
「隊長なら、おれたちのところに、とっくの昔についているはずだ! それが未だに姿を見せないということは何かあったに違いない!」
ニッカは熱く語っている。
「隊長を助けに行くのはいいとして、あの冒険者たちをほおって行くわけにはいかない」
シュバが隣で休んでいる冒険者たちを見て話した。
「どのみち、我々だけではあの村を何とかすることはできんじゃろう。彼らを連れて一旦本部まで行き、指示を仰ぐのが無難だな」
最年長のユークレオがいつになく話に絡んでいた。確かに彼の言うことが一番常識的である。
「少しよろしいですか・・・・」
騎士が話に入ってきた。
「ここから本部まで行くだけなら、私が彼らを隊長として、責任もって連れ帰ります」
「もちろん村の状況や、皆さんの事も私が本部に話をしておきます! 皆さんは我々のことは気にせず隊長さんの事を考えてください!」
「確かに、それならばわれら7人は、あの村に様子を見に行くことができるな!」
ニッカが騎士の意見を採用しようとした。
「いや、騎士殿には悪いが、我らはミトの事も含めて早急に報告しなければならない!」
ユークレオがニッカに待ったをかけた。
「それではユークレオ殿は、騎士殿と一緒に本部に向かってください!」
ニッカは何が何でも村に向かいたいようだ!
「わかった、私とアヤは騎士殿たちの護衛をしながら本部に向かうことにする」
アヤは自分の名前が呼ばれたので、一瞬ニッカ達の方を見たが、相変わらず骨付き肉を頬張っていた。
話がまとまった後、ニッカ、シュバ、イオ、コン、ハジメの5人は月が出てない暗闇の中を村に向かった。
村の手前で松明の火を消したニッカ達は。ひとまず村の全貌が見渡せる丘の上を目指した。
「ここからではよくわからないな」
丘の上で姿が見えないように伏せて様子をうかがっているニッカは隣のシュバに語り掛けた。
「そうですね。たださっきよりは目が慣れて少しは見えてきましたね」
村は夜中ということもあって静まり返っていた。しかしやはり、広間のことがあった後ということもあり、門には5人のゴブリンがいて、村の周りをゴブリンたちが見回りをしているようだ!
「なあ、シュバ! あの門の前に立ってるものはなんだ? 昼間はなかったと思ううんだが!」
ニッカは門の前に2メートルほどの棒のようなものが立っていることを不審に思いシュバに尋ねた。
「なんですかね? ここからではよくわかりませんが・・・・」
シュバは目を細めてじっと眺めたが、ただ細い棒があるようにしか見えなかった。
いつもお読みいただきありがとうございます。