突撃
ホブゴブリンは冒険者の転がっている頭部を蹴り飛ばしながら笑っている。よく見ると部屋の中には鉄球を足に付けた村人らしい人達が何人か壁際に立っていた。
「ひぃやああああ」
ホブゴブリンは冒険者の頭を拾い上げて村人に投げつけた。村人は声をあげて腰をついてしまった。
「キヒヒイヒヒヒヒヒヒヒヒ」
その姿を見てホブゴブリンはさらに大笑いしていた。
ニッカ達は丘の上からゴトン達を見ていた。
「隊長隊、大きな建物の窓から中を見ているようだな・・・・」
丘の上からは村全体が見渡せたが、詳細がわからないため、ゴトン達の状況が把握できなかった。
「えっ、あれって! 今隊長、建物の窓から中に入らなかったか!」
のんびりと村の様子を見ていたニッカは、立ちあがって、顔色を変えた。
「偵察ではなかったのか!」
ユークレオは、めんどそうな顔をして立ち上がった。
「みんなすぐ村に向かうぞ!」
ニッカを先頭に5人は丘を降りて村に向かった。
「ガシャン!」
ゴトンはホブゴブリンの仕打ちに我慢できずに窓から飛びこんでしまった
「隊長!」
シュバ達もあわてて、ゴトンの後に続いた!
「おい、くそゴブリン! これはどういうことだ! 明らか協定違反だぞ!」
ゴトンは剣を抜いてホブゴブリンと相対した。
シュバと騎士は人族をかばうように剣を抜いた。その間にコンはスキルを使って気配を消しながら、冒険者たちの縄を斬っていった。
部屋の中にはホブゴブリンの他にもゴブリンが5体いた。
「キキキキキキッ」
突然の訪問者たちにゴブリンたちは大騒ぎしている。
しかし、ホブゴブリンだけは声を一切出さずに1人の男を睨んでいた。どうやらシュバに気が付いたようだ!
シュバもホブゴブリンを睨みつけている。
「オレがこいつの相手をする! みんなは他のゴブリンの相手をしてくれ!」
ゴトンはそういうとホブゴブリンに突っ込んでいった。
ホブゴブリンはシュバを睨みつけながら、巨大な棍棒を振り上げて、ゴトンに振り降ろした。
「ゴシャン」
ゴトンの剣とホブゴブリンの棍棒がぶつかり大きな音と衝撃でゴトンは後ろに吹き飛ばされた。ゴトンは両足で着地し、ふたたびホブゴブリンに飛びついた。
いつもお読みいただきありがとうございます。




