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騎士

「わ、私たちは引き取りにいっただけなのに・・・・」

 騎士は、ゴトン小隊と同じように人族の引き取りのためにゴブリンの村を訪れたとのことだった。

 村に入りだされた食事を食べていると、突然ゴブリンに囲まれて襲われたとの事だった。


「他のメンバーはどうなったんだ?」

 ゴトンはいまだに放心状態の騎士に詰め寄った。


「わ、わからない・・・・」

 騎士の話では油断していた時にゴブリンに囲まれて、必死で村から逃げだしてきたのだという・・・・


「お前! 隊長のくせに、隊員を置いてきたというのか!」

 ゴトンは騎士に怒り、彼を殴ろうとした。ニッカがゴトンを羽交い絞めしてなんとか収めた。


「隊長! 今は彼を責めるより、詳細を聞き出して一刻も早く救出に向かうべきです!」

 ニッカの強い口調でゴトンも冷静さを取り戻した。


「すまない、ニッカ副隊長・・・・」

「逃げ出してきた村はどこにあるんだ?」

 ゴトンは改めて騎士に問いただした。


 騎士は東の方を、指さした。


「なんだ、それは! 貴様もマウント国の騎士ならもっとしゃきっとせんか!」

 ゴトンは騎士の顔を数回平手打ちした。


ゴトンの力が強かったのか、騎士は口の中を斬ってしまったようで血を流していたが、おかげで意識がしっかりしたようだ。


 騎士から何とか村の場所を聞き出したゴトン達は、騎士を伴って、その村に向かった。騎士の話では村までは2日ほどかかるという。

 騎士は、ゴブリンの追跡者から1日ほど追われていた。追跡者をまいた後は恐怖でひたすら村から遠ざかっていたようだ。

 話を聞いてゴトンは怒っていた。騎士ならば最後まで命をかけて戦うべきだというのがゴトンの信条らしい。さらに隊長としてメンバーの隊員を置いてきたこともゴトンの怒りに火をつけていた。


 ゴトン達は夜になり、野営していた。

「どうぞ、飲んでください」

 シュバが騎士に暖かいスープを持ってきた。騎士はゴトンと顔を合わせづらいのか、一人隅の方で膝を抱えて座っていた。

「オレは騎士じゃないから、よくわかりませんが、これからの行動で逃げたことが正しかったのかどうか決まるんじゃないですか!」

 シュバは話しながら慰めになっているのかどうかわからなかったが、騎士の顔を見ていると、なんとか元気になってほしいと単純に思ってしまった。


 ゴトンは相変わらず怒りをためているようだったが、それよりも騎士に置いて行かれたメンバーや、引き取りができなかった人族の事を心配していた。

「隊長、そんなに気を張っていると持ちませんよ!」

 ニッカがシュバにスープを手渡した。


「はは、オレはだめですね・・・・つい熱くなってしまって!」

 ゴトンにとって、やはりニッカの存在は非常に助かっていた。正義感の塊のようなゴトンであるが、その正義感ゆえに全体が見えなくなってしまうこともあった、そんなときに年上のニッカの存在がゴトンの熱くなりすぎた心を適度に冷やしてくれていた。



 いつもお読みいただきありがとうございます。

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