帰宅
マルオは騎士に抱かれ3日後、ようやく目的地にたどり着いたようだった。
途中、いくつか小さな町で見知らぬおばさんのおっぱいを飲んで、布のおむつにウンチをしてという、いわゆる赤ちゃんのルーティーンを繰り返していた。
「ゴブリンの時も久しぶりにおっぱい飲んでいたけど、またここからスタートか!」
マルオはゴブリン時代の母や妹のことを思い返していた。
「ゴブリンの時はひどいところで1年過ごしてきたけど、今度は見たことないくらい豪華な部屋だな! 赤ん坊の部屋なのに広すぎだろ!」
マルオは部屋を見渡したが、おそらく30畳はあろうかという部屋の真ん中のベッドに寝かされていた。
目の前には号泣するきれいな女の人、おそらく母親かな。この人のおっぱい飲めるのかラッキー!マルオはアホであった!
その女性の傍らには、慰める立派な服を着た男性がたっている。おそらく父親だろう。
「テオ、無事に帰ってきてくれて、よかったわね! おなか減ったでしょ!」
「おッ! おっぱいか!」
マルオ改めテオはにやにやしていた!
「さあ、テオ坊ちゃま、一杯飲んでください!」
母親と父親の後ろに控えていた、おそらく100キロはあろうかという30代後半の決して美人ではない、人のよさそうな女性がおっぱいを出して、テオの口に押し当ててきた。
「うわっ、こっちか!」
テオは残念に思いながらもおっぱいの誘惑に勝てずにいた。
「ごくっごく!」
テオは無我夢中でおっぱいに貪りついていた。
「まあ、おなかすいてたのね」
母親は元気に乳母の乳を吸うテオをみて、とてもうれしそうだった。
ひとしきり、おっぱいを飲んで満足したテオは深い眠りについた。
3時間も寝たころか、テオは目を覚ました。
通常の赤ん坊ならここは泣くところだが、テオは前世の年齢も足すと36歳を超えている大人である。 冷静に状況を整理していた。
「不本意ながらも、人間になったようだ! これでオレは再び自分の努力次第で強くもなれるし、いつか麗華にも人間としてあう可能性もないわけではない!」
「それにしても、この違和感はなんだろう! やはり竜王子の言うように人の皮を被っているゴブリンだからなのか。35年間人間やっていた時と今とでは明らかに何かが違う!」
「どこか痛いわけでもないし、何か特に緊急で対応しなければならないようなものではないが、何かずっとむずむずする。うーん!」
「そうだ、シュバちゃんが人間になればレベルとかステイタスがどうとか言ってたな! どうやって見るんだろう! やはり鑑定とかの能力がいるんだろうか」
テオはシュバインの言った言葉を思いだしながら、吹雪の中ではぐれたままになっているシュバインのことを心配していた。
「きっとシュバちゃんのことだ、何とかしてるに違いない。いつか何もなかったかのような顔してまるちゃんとか言ってきそうだ! もうテオだけど」
「とりあえずレベルだけでもみれないのかなー」
テオは頭の中で「テオ、 レベル」と念じてみた!
テオの前に文字が現れた!
名前 テオ=シェイパース
職業 なし
身分 伯爵家の嫡男
レベル 1
種族 吸血鬼の始祖
スキル 吸血
「びっくりした! こうやって出るのか!」
「んっ! 吸血鬼って! 人間じゃないのか!」
「しかも伯爵って、あのドラ〇キュラ伯爵と同じじゃないか」
マルオ改めテオは吸血鬼になっていた。
「おれはいつ人間になれるんだー」
テオは頭の中でもだえ苦しんでいた!