新たな村へ
ゴトン達は2人を連れて本部に戻った。ここで王宮に送る班に引き取った人たちを引き渡すためだ。
「オレ隊はここまでだ! 王宮にいったら最初は大変だと思うが頑張るんだぞ!」
ゴトンは村から引き取ってきた2人に別れの挨拶をした。
「ありがとう! 私たちを迎えに来たのが隊長さんでよかったわ」
2人はそういうと王都までの案内役と一緒に本部を去っていった。
「なんだか複雑な気分ですね」
最近いつもゴトンと一緒にいるニッカがさみしそうな背中のゴトンを見て語り掛けた。
「彼らの未来が幸あるものであればいいな!」
ゴトンはそういうと、いつものように風呂場に向かった。
「隊長! こっちです!」
先に風呂場にいたイオとシュバがゴトンに声をかけた。
「今回の任務は精神的に少し疲れたな!」
ゴトンは湯船に浸かりながら天井を見ている。
「まあ、戦争をしている時よりはいいですよ」
シュバも同じように湯船に浸かって天井を見てる。
「オレは、あの村で食べたご飯が美味しかったな」
こういう時のイオはいいクッションになっていた。
3人は風呂場を出て食堂に向かった。食堂ではアヤとユークレオが先に席についていた。
アヤはすでに両手に骨付き肉を持っていた。
「隊長、遅いですよ! 全部食べちゃいますよ!」
アヤが言うと皆、冗談に思えなかった。
ゴトン隊は飲んで食べて、疲れをとった。いつしかゴトン隊はしっかりと隊としてまとまってきていた。
翌朝、ゴトン小隊は再び新たな村の人族の引き取り業務を行うため、ゴブリン城に向かった。ゴブリン城の門前には屋台がいくつも並んでいた。人族とゴブリン族のいろいろな取引が増えて、門前には人とゴブリンがあふれていた。
ゴトン達は人の波をかき分けて、テントに向かった。
「ゴトン隊長はどちらですか?」
1人のゴブリンが叫んでいる。
「私がゴトンです!」
ゴトンとゴブリンはなんとか混雑した門前を抜け出した。
「我々が、ゴトン小隊です! 村までの案内よろしくお願いします」
再びゴトン小隊は新しいゴブリンの案内役とともに、新しい村に向かった。
今回の村はゴブリン城から5日かかる、周りに何もないような僻地の村との事だった。
「この村には、私も初めて行きますが僻地にあるため、あまりゴブリン城との交流もないんですよ!」
案内役のゴブリンは村の事を簡単に説明してくれた。村に住む人族は15人ほどで、ほぼ同数のゴブリンも住んでいるとの事だった。
「今回の村では15人のうち何人くらいが移住を希望しているのですか?」
ゴトンは前回のことがあったので、案内役に質問した。
「通常は我々も人数等について把握しているんですが、なにぶん僻地にあるので、まだ連絡がありません」
どうも、案内役を含めてゴブリン城はこの村のことをあまり把握していないようだ!
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