ゴブリン軍襲来
ホブゴブリンとの戦いの翌朝、シュバは一人風呂に入っていた。
「よお!」
上級騎士ゴトンであった。
「なんだか元気ないな!」
「昨日、ちょっといろいろあって・・・・」
シュバは詳細を話さなかった。
「戦争しているんだから、言えないこともあると思うが、こういう状況でともに過ごす仲間だから、戦友なんて言葉があるように、より深い関係になれる!」
「おれとシュバは、まだ共に戦ってはいないかもしれないが、オレはお前たちを戦友だと思っている! いつでもオレを頼ってくれ!」
ゴトンは相変わらずのナイスガイであった。
「ははは、騎士様はかっこいいな!」
シュバも親しみを込めて冗談で返した。
ゴトンは急に真顔になって話し始めた。
「砦のゴブリンたちが来てから、もう何日もたった! そろそろ本格的な戦いが始まるだろう!」
「おれたちは騎士だから命をかけるが、お前たちは危ないと思ったら、すぐに逃げろ!」
ゴトンは目を閉じて話している。
「砦の戦いで多くの冒険者が命を落としたことは聞いている・・・・あれは完全にわれらの失策だ! 彼らには本当に申し訳ないと思っている」
「ガンッ!」
その時風呂場の扉が荒々しく開けられた!
「ゴトン殿、ゴブリン共が攻めてきました!」
ゴトンの後輩騎士がゴブリンの強襲をあわてて知らせに来たのであった。
「何っ!」
ゴトンは、慌てて風呂場を飛び出していった!
シュバも風呂場を出て、ニッカ達のテントに向かった。
「おおっ、シュバ聞いたか?」
ニッカ達はゴブリンたちの事を聞いたのだろう、すでに準備を整えていた。
「おれ達も出陣ですか?」
シュバはニッカに慌てて確認した。
「いや、おれたちは待機らしい。 ゴブリンどもだが、陣の前まで来て動かないらしい! やつら何考えているのやら!」
シュバは剣をもってゴブリン軍を確認するために、外の様子が一望できる崖にやってきた。
攻めてきているのは、どうやら砦からやってきたカチンの軍のようだった。数千の兵は、マウント国が布陣する丘の手前で待機していた。
「まさか、奴ら・・・・」
シュバはニッカのところに急いで戻った。
「やつら、ゴブリン城の兵と、ここを挟撃するつもりでは?」
シュバはニッカに急いで話した。
「ああ、オレもそう思ったが、不思議なのは上層部の連中が妙に落ち着いていることだ・・・・」
ニッカは副隊長としてデリ隊長とともに騎士団長に指示を仰いだ時の違和感をシュバに話した。
ニッカやシュバの知らないところで何かが動いているようだ・・・・
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