決戦前夜
シュバ達が、ホブゴブリンと死闘を繰り広げていたころ、ゴブリン城には1体の訪問者がいた。カチン将軍付きの軍師マグマグである。
「マグマグ様、入られます!」
王の間の案内と同時に扉が開いた。
「ミト王、お久しぶりです!」
マグマグは、ゴブリン城の軍隊と、カチン将軍の軍でマウント王国軍を挟撃するための話にやってきていた。
「よく来たマグマグ!」
ミト王は玉座に座って迎えた。
「明日の早朝、手筈通り、わが軍は全軍でマウント国の軍に突撃します! ミト王も同時にご出陣お願いいたします!」
マグマグは深々と頭を下げた。
「お前たちが、本当にその気なら奴らに大打撃を与えることができるだろうな!」
ミトはそもそもカチンの事を信じていなかった。
「王よ! あなたとカチン将軍がうまくいってないことを周知の事実ですが、ゴブリンと人族は相容れない! カチン将軍がマウント王国に着くことはありません!」
マグマグは堂々と返答した。
「フッ、白々しい・・・・まあ、よいわ! お前たちがあちらに着こうが結果は変わらぬ!」
ミトはカチンをただの力だけの将軍だと判断している! それよりもマグマグの方がよほど脅威に感じていた。
それゆえ、あえて決戦の前日にマグマグを呼び出したのである。
「お前に聞きたいことがある!」
ミトは玉座から立ち上がり、マグマグに近づいた。
「先日何者かが、ゴブリン城に潜入してスーマ達四天王を短時間の間に抹殺した!」
「これは、お前の仕業か?」
ミトは遺跡からの通路のことをまだ知らない。ゴブリン城に潜入の形跡がないことから、内部の犯行だと考えていた。
「あのスーマ殿達が・・・・」
マグマグは寝耳に水だった。実際スーマを倒したのはシンである。マグマグが知るはずもない。
「今初めて伺った話なので、私には正直わかりません!」
マグマグは正直に答えた。実際知らないものを、もったいぶっても仕方ないからである。
マグマグはミトの相手をしながら、スーマ達を倒したものの事を考えていた。ゴブリン軍でいえば、そんなことができるのはミト王かカチン将軍くらいである。その2人でないとすれば、あとはマウント王国であった。
しかし、ラオはマグマグにもカチンにも、そんなことを一言もこれまで話をしていない。
自分たちが知らない戦力がマウント王国に存在するのかもしれない!
だとすれば、どうやって潜入したのか・・・・
「本当に知らないようだな!」
ミトは考え込んでしまっていたマグマグを見て、判断したようだ!
「まあいい! これは戦争なのだから、だまし合いは当たり前のことだ!」
「王よ! ゴブリンをまとめ上げて国まで作り上げた、あなたの手腕を私は認めています! あなたの目指すゴブリンのためのゴブリンによる国造りは私も目標としております」
そういうとマグマグは王の間をあとにした。
「・・・・」
ミトはマグマグに国造りの事を話されて、とてつもない孤独感を感じた。
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